「柊、おかえり」
ふらふらの状態のまま自分の部屋までたどり着くと、結葉が笑顔で出迎えてくれた。
ボクの表情を見た途端、何も言わずに抱きしめてくる。
そういえば、随分前に家の合鍵を渡してたんだっけ?
「がんばったね」
「……」
いつだって、どんなときだって、結葉はボクの救いだ。
何も言わずとも、こうして頭を撫でてくれる。
ボクは、今日の出来事をありまのままに話した。
「なにそれ……」
さっきまでの優しい表情は一変し、たまに見かける遠い目をした虚ろな表情になった。
「ボクも悪いんだよ。一時の気の迷いで学校なんて行っちゃったから……」
「違うよ。悪いのは全部あいつら。柊は何も悪くない」
表情は依然として虚ろなままだが、結葉の掌が、強く、強く握りしめられている。
そして、何も感情のこもっていないようなトーンで、ぽつりと呟いた。
「……あいつらなんて、いなくなっちゃえばいい……」
ボクはそんな結葉に対して何も言えず、ただただ見つめることしかできなかった。
すると、結葉に会えた安心感からなのか、ひどい眠気に襲われてしまい、そのまま眠りの世界に誘われてしまった。
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