「え? サンダードラゴンの族長に出会った?」
『ええ、ルキアと名乗ったその族長はどうも『オルガスタ』を壊滅させた個体を処分するために探していたみたい』
「何かややこしいねぇ」
『私もそう思う。 でも、彼女が言うにはドラゴン族は基本人間に干渉しないようにしていたらしいけどね』
ギルド『スカーレット』内の訓練場にて、双子の実力を測るための模擬戦が終わった直後に、アルマの水晶玉が光ったのだ。
それがアイシアからだと分かったアルマはすぐに応じ、彼女からの報告を受けていたのだ。
その内容は、サンダードラゴンの族長と出会い、最北端の町『オルガスタ』を壊滅した別のサンダードラゴンの個体を処分するために該当の個体を探していたというものだった。
ややこしい内容にアルマは頭を抱えながら、アイシアからの報告を聞いていた。
「しかも、人化したって本当?」
『本当よ。 人化した姿はロリだったけど……。 で、その族長と連絡するための首飾りをアルマの分も貰ったのでそっちに転送するね』
「転送用のインベントリに入れるんだね。 分かった」
『じゃあ、こっちも本来の依頼を遂行しに行くから……』
「うん、気を付けてね」
「今のはアイシアからか?」
アイシアの通話を終えたアルマの元にケリンがやって来た。
「うん。 どうもサンダードラゴンの族長と出会ったんだって」
「族長と?」
「そう、人化も出来るドラゴンらしいよ。 名前はルキアみたい。 で、もうすぐアイシアがルキアから貰った首飾りが転送してくるみたい」
「首飾り?」
「何でも族長のルキアに連絡できる首飾りみたいだよ。 複数貰ったらしいからね」
「何だかなぁ」
ケリンにも、アイシアから受けた報告の内容を伝えた所、ケリンもやや呆れ気味だった。
「しかし、『オルガスタ』を壊滅させたドラゴンの処分の為に、そいつを探していたとはなぁ」
「ボクも驚いたよ。 でも、ドラゴンは人間に過度の干渉はしないようにしているみたいだけどね」
「ドラゴン族にも事情があったのか……」
「そうだね。 それで、リリちゃんとリト君はどうだった?」
ドラゴンの事情を知った二人だが、即座に双子に話題を切り替えた。
ケリンは、双子の模擬戦の相手を務めた後でアルマの元に来たのだ。
「ああ、二人とも素質は高いな。 鍛えればしっかり強くなれるよ」
「そっか、同じ剣士のケリン君が言うなら大丈夫だね」
「ある程度日にちを掛けて訓練しつつ、依頼で実戦を積みなおしていこうと思う」
「了解。 ボクもその時は同行するよ」
ケリンの評価は素質は高いため、鍛えれば強くなると高い評価。
実戦での経験も積みなおしながら、訓練をする事をアルマに伝えると、彼女も同意した。 また、依頼で実戦を積む際はアルマも同行するようだ。
「ケリンさん。 双子の素振り500回が終わったみたいですよ」
「お、終わったか。 そろそろ昼だな」
「そうだね。 そろそろお昼ご飯にしようか」
「リリ、リト、そろそろ昼飯にするぞー」
「はーい」
双子に課した素振り500回を終わったというリキュアからの報告を聞き、丁度時間が昼になったので、アルマから昼食にしようと提案してきた。
ケリンも双子を呼んで、昼ご飯を食べるために食堂に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「いただきまーす」
食堂で昼食を取るアルマ達。
美味しそうに食べる双子の様子を見て、ケリンやリキュアは微笑んだ。
「あーうー」
「はい、ユリアちゃんのミルクもあるよー」
「あー、あー」
「お、今回は俺か。エクレア、ユリアをこっちに」
「はい」
ケリンがユリアを抱っこし、ミルクを与える。
ユリアがゴクゴクと飲む様子に双子を含めたみんなが微笑ましく見ていた。
「美味しいか、ユリア?」
「あーうー、ぱーぱ」
「え?」
「あはは、ケリン君パパだって」
「おいおい……、俺はまだ18なんだけど……」
「18でパパになった人もいますから大丈夫ですよ」
「リキュア、それ励ましになってないから!」
「あーうー、あー!」
「おっと、悪い悪い。 はい、ミルク」
ユリアがケリンにパパと呼んだ事で、アルマが笑い、リキュアからは申し訳程度のフォローを行ったが、18歳のケリンからすれば全くフォローになっていなかった。
当のユリアがミルクをねだってケリンの顔をペチペチ叩かれると慌ててミルクを与える。
「くぅくぅ……」
「おっとミルクを飲み干したら眠ったか」
「みたいだね。 ベッドに寝かせてから食べようか」
「だな。 じゃあベビーベッドに寝かせるよ」
「お願いします」
ケリンはお腹いっぱいになり眠ったユリアを隣の部屋のベビーベッドに寝かせに行った。
その後、双子とアルマ、エクレアとリキュアとで一緒に昼食を取り、お腹を満たし、午後の訓練の活力となった。
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