追放剣士は新天地のギルドで花を咲かす

追放された剣士ケリンが新天地で紡ぐ冒険者活動記
イズミント
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新天地での初依頼

公開日時: 2020年9月29日(火) 14:10
更新日時: 2020年9月29日(火) 14:12
文字数:2,326

翌日、ケリンはアルマ、リキュアと共に冒険者連盟アルスト支部に寄って依頼を受けに行った。

依頼内容は、アルストの町の北側にある洞穴に潜むゴブリンの討伐である。


「新天地での初依頼にうってつけってやつか。 しかし、各国の冒険者連盟が依頼を管理してるんだな」


「そっか、エリクシア王国のギルド、ならびに冒険者はそうじゃないんだったね」


「ああ、国が依頼も管理していて、国が指定された依頼をこなすって方式だった」


「依頼を自分で選ぶことすら許されなかったという事なんですね」


「そうさ、狂ってるだろ?」


「うん、ホントにね。 連盟が批判しても聞く耳もたないどころか、国が管理することこそ質の向上にって言ってるよね」


アルマとリキュアは、エリクシア王国の冒険者の扱いに不快感を示していた。

それもそのはず。

実は、各ギルドが町に設置している連盟支部の建物にて依頼を選択する方式が正しいのだが、エリクシア王国の場合は、依頼も国が管理しているうえに各ギルドに国が指定した依頼をこなすという流れとなっている。

これも、各国の冒険者連盟が批判しているが、当然ながらエリクシア王国は聞く耳もたない。

それどころか、国が管理、統制することこそ質があがるという主張までしている。


「これもあのエリクシア国王が弱者嫌いであることに起因してるんだろうね」


「迷惑なことこの上なかったよ。 ま、今の俺には関係ないが…」


「とにかく、北の洞穴に行きましょう。 ゴブリンは数が多いのでケリンさんの剣のスピードに期待しますから」


「さらっとプレッシャー掛けないでくれ」


「大丈夫、いけるいける!」


アルマとリキュアにプレッシャーを掛けられながら、ケリンは彼女達と共に北の洞穴に向かった。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「着いた。 ここの洞穴で間違いないよ」


「ホントにゴブリンが徘徊してますね…」


「あの徘徊しているゴブリン全てを倒すんだな?」


「うん。 なるべく速攻で倒しておいたほうがいいみたい」


洞穴から離れた茂みに隠れて様子を伺うアルマ達。

ゴブリンは三人が茂みにいることにまだ気づいていない様子。


「今回は作戦とか戦術は無視でいいから。 ゴブリンを速攻で倒す事だけを考えよう。 ケリン君も本気出していいからね」


「ああ、分かった」


「じゃあ、始めるよ!」


アルマの一言で、ケリンはゴブリンの群れへと勢いよく飛び出していった。


「ギギッ!?」


「遅いぜ! そりゃっ!!」


「「「ギャアァァッ!!」」」


まず、挨拶代わりに抜刀による衝撃波を群れに放つ。

不意を打たれた感じのゴブリンは、なすすべもなく衝撃波を直撃し、絶命していく。


「まだまだぁっ!!」


「ギビィッ!?」


「アギャアァァッ!!」


「ギョエェェッ!!」


その勢いをそのままにケリンはスピードを活かして、次々とゴブリンを斬り刻んでいく。

その様子を見て、アルマとリキュアは感心するように見惚れてていたようだ。


「すごいねケリン君は、もうゴブリンを半分も屠ってるよ」


「そうね。 そろそろ、私達も支援しないと。 出番的にも」


「そうだね、やろっか。 火の渦を巻き起こせ! 【フレイム】!!」


「私も行くわ。 つむじ風を巻き起こせ! 【エアロ】!!」


「「「ギヒャアァァァッ!!」」」


アルマとリキュアがそれぞれ魔法でゴブリンを屠っていく。

これで、ゴブリンは大体九割屠ることに成功した。


「流石の二人だな。 これは、負けてられないな。 くらえ! 高速剣【アクセルラッシュ】!!」


「「「ギエェェッ!!」」」


負けじとケリンも残りのゴブリンを高速抜刀技で次々と斬り倒していく。

そして、戦闘開始からわずか15分でゴブリンを全滅させることに成功した。

しかも、一度も攻撃を受けることなく終わったのだ。


「お疲れ様。 ケリン君ホントすごいよね。 たった15分で殲滅できたんだから」


「そうなのか?」


「ええ、ケリンさん抜きで同じ数のゴブリンを倒すのなら、大体1時間はかかりますからね。 すごい短縮ですよ」


リキュアとアルマがそれぞれケリンを称える。

いままで、称えられた事がなかったためか、ケリンはやや照れていた。


「とにかくこれで依頼は達成だね。 この緑のインベントリにゴブリンの死体を吸収させれば自動的に討伐の証のアイテムに変化できるんだよ」


「緑のインベントリ? あの時のボアを入れたアレは…?」


「あれは赤のインベントリで、食材の保管用に使われてるよ。 もう一つは青のインベントリだけどこれは採取用だね」


「区別されてるんだな…」


「今回はボクが持ってきたけど、基本はギルドメンバー全員が持ってるんだよ。 ケリン君は入ったばかりだから帰ったら渡すね」


アルマはそう言いながら、持ってきた緑のインベントリにゴブリンの死体を次々と吸い込んでいく。

中で自動的に解体されて討伐の証のアイテムに変換されるのだろう。


「これでよしっと。 じゃあ、町に戻って連盟支部に完了の報告をしよう」


ゴブリンの死体を全て吸収し終えたので、アルマ達はアルストの町の冒険者連盟支部に報告するために戻ることにした。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「はい、お疲れ様でした。 これが報酬です」


アルストの町の冒険者連盟支部の建物内で、依頼完了の報告としてアルマの緑のインベントリから討伐の証となるゴブリンの牙を提示した。

連盟員の確認が終わり、完了したと認められたので、報酬が渡された。

その報酬はしめて4000ゴールド。


「これ、分けたらいいんだっけ?」


「今回はケリン君がMVPだから、全部あげるよ。 装備の買い替えとか、趣味に使ってね」


「分かった。 お言葉に甘えますか」


「じゃあ、お昼ご飯の時間だし一旦ギルドハウスに戻ろうか」


報酬を受け取ったケリン達は、昼食を取るために一度、ギルドハウスに戻った。

その間、ケリンは貰った報酬の使い道を考えていた。


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