お待たせしました。
「あー、うー」
「あらあら、本当にユリアちゃんったら、リト君の事好きだねぇ」
「ケリンさんをパパとして気に入ってるなら、リト君はお兄ちゃんかしら?」
アルマ達5人がアレックス帝国を目指して出発してから3日経ったアルストの町にある『スカーレット』のギルドハウスにて、ユリアをあやしているリトを見てエクレアとリキュアが微笑んだ。
「そういえば、リト君の状態はまだ喋れないんでしたっけ?」
「ええ。 追放の件と危険な魔物との遭遇の件でのダブルパンチが影響しているって。 でも、ユリアちゃんを世話しているおかげか、心は落ち着きを取り戻しているみたい」
「じゃあ、喋れるようになるのももうすぐ……でしょうかね?」
「まぁ、そこはまだわからないけどね」
リトに関しては今でも喋れないが、ユリアを大事に思っているらしいので、率先して世話をしているようで、そのおかげで精神面の方は安定しだしているのだとか。
ただ、エクレアの喋れるようになるのではという話に、リキュアは分からないと言った。
精神面の安定と、言葉を取り戻すことはおそらく別物なのだろう。
「きゃっ、きゃっ、あーうー、あー」
「あー、癒されるわぁ」
「本当ね。 ユリアが笑顔なのは私も癒されるわね」
リトはケリンと同様に子供をあやすのが上手なのだろう。
リトに世話されているユリアは満面の笑顔を振りまいているようで、傍らにいるエクレアやリキュアも癒されていた。
「ただいまです」
「あ、お帰りリリちゃん」
そんな時、リリが帰ってきたようだ。
「今日のクエストはどうでした?」
「アレンさんのおかげで何とかなりました。 私もまだまだですね」
「まぁ、アレンさんは最強の一角を担う戦士だからね。 でも、リリちゃんも十分に強くなってるよ」
「エクレアお姉さんにそう言って貰えると助かります。 そういえばリトは?」
「あそこでユリアちゃんをあやしてるよ」
リリは、アレンや他のメンバーとクエストをこなしに出かけていた。
彼女自身は、アレンのおかげで何とかなったと言ってはいるが、リリ自身もケリンからの指導などで十分な強さを持っている。
アレンもそれを認めているからこそ、リリをクエストに連れて行ったのだ。
そして、リリは赤ん坊のユリアをあやしているリトを見ていた。
「リトも未だに喋れないながら、ユリアちゃんと意思を疎通しているかのように感じますね」
「そうだね。 リト君は妹か弟が欲しかったんだって?」
「はい、私とは双子ですが私が形式上姉なので……。 あ、フィーネちゃんは?」
「隣の部屋でマヤノさんと絵本を読んでるわよ」
「そうなのですね。 じゃあ、行っていきます」
クエストから帰ってきたにも関わらず、リリはフィーネとマヤノがいる隣の部屋に移動した。
再び残ったリトとユリア、そしてリキュアとエクレア。
楽しくあやし続けるリトと笑顔を振りまくユリアをよそに、リキュアとエクレアはある話をしだした。
「そういえばアルマ達はどこに着いたのかしら?」
「えーと、3日かけて国境付近の『オリバーシルト』の町に着いたって報告がありましたよ」
「そっか、じゃあその町にも拠点といて活動する冒険者ギルドがあるわね」
「丁度、そのギルドが平行して運営している宿屋にアルマさん達は泊ることになりましたよ」
「へ!? あそこのギルド、宿屋も一緒に運営してたの!?」
アルマ達が『オリバーシルト』を拠点として活動するギルド『スチュワート』が平行して運営している宿屋で宿泊することにしたと聞いて、リキュアは驚いた。
ここ『スカーレット』は孤児院を並行して運営しているが、子供たちが多いのか、維持費は結構かかっている。
だが、冒険者としての報酬や国からの支援があるため、高い維持費を払ってもかなりの蓄えがあるのは強みだろう。
そういった強みはおそらく宿屋を並行して運営する『スチュワート』の方でも同様だろう。
「あっちもメンバーが多いから、何人か選んでアレックス帝国に向かうそうよ。 その時はアルマ達と同行するんだって」
「同行ですか?」
「どうも、その『スチュワート』のリーダーさん、ケリンさんのファンで彼の頑張りにあこがれて冒険者になったんだって。 そういう理由もあるみたい」
「という事は、その人はケリンさんよりも後で冒険者になって、その後リーダーを任せられたって事ですか? 相当の実力者じゃないですか」
「本当、すごいよねぇ」
どうやら、この後、二人はまだ会っていない『スチュワート』のリーダーの話で盛り上がったようだ。
レナからご飯が出来たと言われるまでは。
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