「いらっしゃーい。 あ、アルマちゃん!」
「やほー、いつものメニューお願い」
「かしこまりー」
食堂に入ると看板娘が出迎える。 アルマとはやはり知り合いであり、気さくに交わす友人関係なのだろう。 大きめの食堂だからか他の店員も働いており、客も多い。
「いつものって言ってたけど、どんなのなんだ?」
「これからボクが教えるおすすめのメニューだよ。 内容はミートソースのスパゲティと野菜サラダ、グリルチキンだね」
「ほぉ…、それがアルマのおすすめなのか。 じゃあ、俺もそれにしよう」
「やったっ♪」
アルマが喜んで店員を呼び、アルマの良く食べるメニューと同じものを注文した。
「しかし、結構賑わってるなぁ」
「アルストの町では大きな規模の食堂だからね。 住民もよく利用しているよ」
「だからか。 ここまで賑わってるのは…」
「お待たせしましたー」
アルマとケリンが他愛のない会話をしていると、注文した料理がテーブルに並べられた。 二人はそれを味わって食べていく。
「そうだ、食事が終わったら連れて行きたい場所があるんだよ。 いいかな?」
「連れて行きたい場所? 別に構わないが…」
「よーし! じゃあ、この料理を味わって食べてからその場所に連れて行くね」
そう言いながら、アルマとケリンは注文した料理を食べていくのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
食事の後、アルマに連れられた先は、町の北門を出た所にある裏山だった。
「ここだよー」
「この場所がか?」
「うん。 アルストの町から数分でたどり着ける裏山なんだ。 ここから町が見下ろせるんだよ」
「へぇ…」
そう呟きながらケリンがアルストの街並みを一望している時に、強い風が吹きつけた。
「あっと…。 スカートが…」
(ピンク…)
強い風に煽られて、アルマのスカートが捲れた。 ケリンは一瞬だが、アルマの下着を見てしまったようで、すぐに目を反らす。
「あはは、別にケリン君に見られても構わないんだけどね。まぁ、ここは時折強い風が吹くのが玉に瑕かな」
少し顔を赤らめつつも笑顔で言うアルマ。
「さて、街並みを眺めながら、少しお話するね」
「あ、ああ…」
お話の内容が何なのか分からないケリンは、その言葉にビクッとする。
「実は、ボクは君の事が好きなんだよ。 それでね、ボクを含めてケリン君の事が好きな子がいるんだよ」
「え…?」
突然のアルマの告白にケリンは驚きを隠せないでいた。 いきなり好きだと言われても頭が回ってこない。
「ボクの他にケリン君が好きな子っていうのは、アイシアとリキュアだね」
「あの二人もか…」
アイシアとリキュア。
特にアイシアはギルドに入ってからは特にケリンを気遣っていたこともあり、その支えたいという感情もあったのだろう。 リキュアに至ってはおそらく襲撃の後に三人部屋で励ましていた事が彼女の想いを爆発させたのかも知れない。
「でも、ケリン君は元孤児で下の子たちの世話で必死だったから、こういう恋愛って未経験だし、いきなり好きだと言われてもどうしようもないでしょ」
「ま、まぁ…確かに」
「でもね。 この国では『一夫多妻制度』があるんだよ。 だから、ケリン君が誰を取るかを悩まずに済むんだよ」
「というと…?」
「ボクとアイシアとリキュアをまとめて嫁にしちゃえばいいんだよ」
アルマからリーベル公国が『一夫多妻制度』を設けているという事を聞いたケリンは、アルマからのアイデアに多少は驚いたが、ある意味では納得がいったようだ。
「それで構わないが…、ギルドとしてはどうなんだ?」
「うちのギルドは恋愛は禁止じゃないよ。 実はアレンがエリューシアとレナの二人と付き合っているしね」
「初耳だ…」
ケリンが気になったギルドとしての恋愛ルール。 エリクシア王国では禁止事項だったが、どうもアルマのギルドは禁止ではないようだ。 むしろ、メンバーのアレンがエリューシアとレナの二人と付き合っている事にケリンが初めて知ったのだ。
「アルマがそう言うなら、それを受け入れるよ。 俺もアルマのおかげでここにいるようなものだしな」
色々聞いて、納得したケリンはアルマの告白も受け入れる事にした。 彼自身もアルマと出会ったおかげでギルド『スカーレット』にいるようなものなのだから。
「うん、じゃあこれからもよろしくね。 今日はボクと一緒だったけど明日以降はリキュアとアイシアも付き合ってあげるようにね」
「ローテーションでか?」
「基本はそうしたいけどね。 ケリン君が三人纏めてデートしたいならそうしてもいいよ」
「ああ、その時になればそうするよ」
なんだかんだで、ケリンはアルマだけでなくアイシアとリキュアを嫁にすることが決まった瞬間だった。
何はともあれ、今日のアルマとのお出かけは無事に終わったのである。
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