お待たせしました。
「これがあのサンダードラゴン族の族長のルキアさんから貰ったっていう首飾りか……」
午後の訓練の前にアイシア経由でルキアから首飾りが送られてきた。
転送機能を兼ねたインベントリを使って、送られてきたようだ。
「この首飾りを掛けておくといつでも連絡はできるって事かな?」
「そうなんじゃないか? でないと、ルキアと名乗る者から送ってこないだろうし」
「テストが出来ればいいんだけどね……って光ってる。 もしもーし」
『あー、テステス。 聞こえますかー?』
「うん、聞こえるよ。 あなたがルキアさん……だっけ?」
『はい。 サンダードラゴン族の族長のルキアです』
ケリンとアルマが首飾りについて話をしている最中に、アルマが着けた首飾りが光ったので応対する。
その瞬間に声が聞こえてきた。 そして、その声の正体がルキアだったようだ。
アルマに渡した首飾りがきちんと通信用として機能しているかをテストしていたみたいだ。
『うちの種族の一部が迷惑を掛けたという話をアイシアさんから聞きました。 本当に申し訳ありません』
「もしかして今、あなたが動いてるのは?」
『ええ、町一つを滅ぼした個体を探して排除するためです。 本来、ドラゴンは人間と過干渉しない決まりがあるのですが……』
「その個体、それが気に食わなかったのだろうね」
『ええ。 私も止めたのですが振り切られました。 アイシアさんが言っていた壊滅させた町の廃墟を調べたのですが』
「何か分かったの?」
ルキアとアルマが通信で話している様子をケリンはただ見守っている。
そして、現在ルキアは別の個体が壊滅させたという『オルガスタ』跡地で調べていたようだ。
『焦げ跡から私が抜き取った電撃の魔力から、魔王の力も混在していたんです』
「ま、魔王……!?」
『はい。 おそらくその個体は魔王と接触していた可能性もあるかも知れないのです』
「今の所、数十年間は動きがなかったのは、力を与えるためだったのかな……」
『数十年前に一度敗退した魔王が今まで行動を起こさなかった理由の一つですね。 当時は聖剣が無かった時代でしたから。 掟を嫌った個体もそれを魔王が利用したとも考えられますね』
今回のサンダードラゴンが町を壊滅させたのも、自分の力の誇示だけでなく、ドラゴンの掟への反発もあった。
それを今は休止中の魔王が利用して、力を与えたのかも知れないという。
『それだけでなく、今の魔王は人間の過激な思想も利用しているのではないかと』
「いつぞやのエリクシア王国や今のアレックス帝国みたいな?」
『そうです。 ドラゴン族全てがその魔王を警戒していましたが……、すり抜けられてしまいましたからね』
ルキアのショックを受けていたようなトーンがアルマの耳に届いた。
ケリンもその様子を聞いていたので、流石にいたたまれなかったが、ここは自分よりアルマの対応に期待するしかない。
そんな時だった。
「ケリンさん、アルマ!! 大変よ!!」
「リキュア!?」
「どうしたの!?」
突然リキュアが、慌てた様子で現れたので、ケリンやアルマは驚いた。
「ドラゴンが、アルストの町からやや遠めの上空に現れたの!!」
「種別は!?」
「サンダードラゴンだよ!!」
「な……!?」
『何ですって!?』
「ふえっ!?」
突然のサンダードラゴン襲来の報告にアルマとケリンは驚きの声を上げる。
同時に首飾りからルキアの驚愕の声も伝わったので、リキュアもびっくりしていた。
『す、すみません! そのドラゴンはアルストの町近辺に来たんですね!?』
「う、うん。 突然電撃の高い魔力を感じたから展望台で覗いてみたら……」
『私もそっちに向かいます! 今からなら交戦前に追いつけますから』
「お願い! ボク達も住民を避難させてから一応対応しに行くから」
『分かりました。 死なないでくださいね!?』
「うん!」
そう言いながら通信を終えたアルマ。
そして、リキュアに向けて頼みを伝える。
「リキュアは子供たち、そしてリリちゃんやリト君を地下の部屋に避難誘導を! ケリン君はエクレアを呼んでリキュアの手伝いを伝えてからボクと共に現場に!」
「ああ、分かった!」
「気を付けてね、アルマ!」
「もちろん! ボクもアレンやエリューシアを呼んでくるから」
三人は、それぞれの役割をこなすために、一旦散開する。
そして、ケリンとアルマはアレンとエリューシア、そしてシルスと合流して町から離れた平原へと向かう。
そこでサンダードラゴン族の長、ルキアと合流する算段でもあった。 そして……。
「サンダードラゴンが来た!」
町から離れた平原に着いたと同時に、ルキアより先に件のサンダードラゴンが現れたのであった。
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