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翌朝、ケリンとリリとリトはギルドハウス内の広場にいた。
「まず、ここからギルドハウスを回るランニングをやっていこうか。 基礎体力は重要だしな」
「前衛後衛問わずに重要だもんね。 長期戦を見越してある程度のスタミナは必要だしね」
ケリンの横にいるアルマが、補足説明をしていく。 彼女は黒魔術師だが、長期戦を見越してランニングをやっているらしい。
「ただ、いきなり10周はキツいだろうし、まずは2周走ってみようか。 そこから少しずつ周回数も増やしていくよ」
「はい!」
リリは、気合いが入った返事をする。 リトも喋れないが気合いは十分のようだ。 リキュアがリトに念話魔法で伝えてくれていることが大きい。
「よし、じゃあ準備体操をしてから走ろう」
みんなで準備体操をしてから、ケリンとアルマを先頭にギルドハウス周りを走る。
ギルドハウスといっても、『スカーレット』の場合は、孤児院も兼ねている為に、1周でもかなりの距離がある。
慣れているケリンやアルマ達はいいとして、リリとリトの双子の姉弟は慣れてない可能性と基礎体力の低さを考慮して、まず2周で止める事にした。
「辛かったら一休みしてもいいぞー!」
「大丈夫です!」
「今のところ、大丈夫そうだね」
ケリンは、後ろについていくリリとリトを見ながら、声を掛けた。
リリは大丈夫だと返し、アルマも今のところ大丈夫そうだと判断した。
「リト君の方もリキュアが並走してくれているから大丈夫だよ」
「そういや、リキュアも初期メンバーだっけか?」
「うん、ボクが後を継いで『スカーレット』に名を変えた時のね。 当時はアイシアとリキュアとボクの三人だったよ。 特にリキュアも自分でついてこれるようにと基礎体力をメインにやってたからね」
(ああ、道理で余裕過ぎる表情だと思ったよ…。 そんなエピソードがあったとはなぁ)
アルマが、リトと並走するリキュアを見てそう語った。
彼女がギルドマスターになってからは、メンバーが集まるまではアイシアとリキュアしかいなかったのもあり、リキュア自身が足を引っ張らないようにと基礎体力を鍛えていたようだ。
これにケリンも納得がいった。 リトと並走するリキュアの表情はかなりの余裕がある感じだったからだ。
「何かリリの奴、近づいてきてないか?」
「近づいてきてるね。 もうすぐ二周目に入るからペースが上がってきてるみたい」
「おいおい…」
もうすぐ二周目に入る頃になると、心なしかリリがケリン達に近づいて来たような感じがしていた。
アルマも感じており、リリがペースを上げているという事で、ケリンは驚いていた。
「しかも、表情も意外と余裕があるみたいだな。 ここに来るまでの数週間で意図しない形で鍛えられてたのか?」
「多分ね。 正規じゃない道は大抵過酷で足場も悪いからね…。 しかも危険な魔物も生息してるって話だし」
(なるほどな。 リリ達も近道しようとして危険な道を通ったから、あの強い魔物に…)
アルマが正規の街道ではない場所は、大抵道が悪く、強い魔物も生息していると言った事で、ケリンは昨日のリリの話を思い出し、彼女達双子が近道をしようとしたのではと考えた。
でも、それはもう過ぎたことなので追及はする気はないのだが。
「お兄さん、アルマお姉さん!」
「わわっ、並ばれちゃったよ!」
「そんなにペース上げて大丈夫なのか?」
「はい! リトも付いて来てますから」
後ろを見ると、リトもしっかりケリン達の後ろにぴったりといる。
リキュアもリトのペースが上がったのに驚いた様子だったが、すぐに持ち直しているようだった。
「二周目が終わったら休憩と身体をほぐしてから、実力の確認の為に模擬戦をするからな。そこで課題や長所を伸ばすためのプランを作っていくから」
「あ、はいっ!」
「ふふ、リリちゃんも張り切ってるねー」
走りながらだが、ケリンがひとまずランニングが終わったら、休憩と身体をほぐした後で模擬戦をして、課題を見つけたり長所を伸ばすためのプランを作るという事でリリも張り切っていた。
アルマは傍でその様子をみて微笑んでいた。
「リキュア、後でリト君にもメモで伝えてやってあげてくれる?」
「分かった。 ケリンさんも張り切っているみたいだしね」
「ある意味、剣士の弟子を得たようなものだからねぇ」
アルマがリキュアに、リトにもメモで伝言するように伝え、リキュアもそれを了承した。
二人は、ケリンがリリとリトという剣士の双子に対して張り切っている様子を見て微笑みを浮かべている。
そうしているうちに二周目が終わり、ランニングはひとまずここで終わらせることになった。
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