久しぶりの更新です…。
お待たせしました。
「あーうー、あー」
「おー、よしよし」
「きゃっ、きゃっ」
ギルド『スカーレット』内に構えている孤児院で、赤ん坊をあやしているケリン。 赤ん坊は嬉しいのかケリンの顔をペチペチと笑顔で叩いていた。
「ユリアちゃん、ケリンさんを気に入ってますね。 抱っこすると泣き止んで笑うんですから」
「赤ん坊はよく俺が世話していたけど、泣き止まない子も多かったよ」
「大変だったんですね」
「まぁね」
ユリアと言う赤ん坊をあやしているケリンの隣には、リキュアがいた。
リキュアは、赤ん坊をあやしているケリンを羨ましそうに見ていたが、ケリンが孤児院の時の様子を語ると大変だったと労った。
そして、リキュアは心配そうにケリンにこう聞いてきた。
「三日間は冒険者活動はお休みになってますけど、代わりに子供の世話とか…体調は大丈夫ですか?」
「昨日、じっくり休んだから大丈夫さ」
「ならいいですけど…。 最近のケリンさんは『スカーレット』の主力扱いになってますから…倒れないか心配なんです」
「アルマが時折休みを強引に入れてくるからそこまで過酷じゃないさ」
「流石はアルマ…」
「あー、だー」
「あはは、ユリアちゃんは元気だなぁ」
ケリンは昨日から三日間は冒険者活動は休むようにアルマから言われているようだった。
ここ最近のケリンは活躍の度合いが高く、『スカーレット』内では主力の一人として重宝されている。 故に体調を大事にして休むようにというアルマから注意されたのだとか。
そんな彼は、昨日は一日中ゆっくり休めたようで、今日はリキュアと子供たちの世話に勤しむことにしたのだ。
暫くあやしていると、ユリアは眠くなってきたのかゆっくりと瞼を閉じて穏やかそうに眠った。
「そういや、リキュアもアルマとアイシアとは知り合いなのか?」
ユリアを寝かしつけた後で、ケリンはリキュアに気になった事を聞いた。
「はい。 でも、私は当時は冒険者ではなかったのです」
「冒険者ではなかった?」
「はい、私は元貴族でしたから…。 家は両親が殺害された影響でなくなりましたから。 それを見かねたアルマが誘ってくれたんですよ」
リキュアも元貴族だったことに目を見開くケリン。
彼女の家は、殺害されたと同時になくなったようで、それをきっかけにアルマの勧誘でギルドに入ったようだ。
「私の両親とアルマの両親、そして当時は別の国に居たアイシアの両親とは仲がよかったのです。 でも、アイシアの両親が娘のアイシアを当時アルマの両親が運営していたギルドに預けた事が、人生の転換点だったんですよ」
「まさか…」
「はい、アイシアから聞いたと思いますが、アロウズ王国がアイシアを取り返すためにリーベルに攻め入った件です」
リキュアが貴族でなくなるきっかけが、アイシアがこの間話してくれたあの一件だった事に、ケリンは驚きを隠せなかった。
あの件は、『騎士』の力を持ったアイシアを逃がすために当時のアルマの両親が運営していたギルドに預けたが、冒険者として活躍したことで居場所がばれて、国を挙げて攻め入った事件だ。
「あの一件で、リキュアの両親は…?」
「はい。 別動隊の兵士達によって、手当たり次第に人を殺めていったのです。 私の両親もその犠牲になったのです」
「無差別かよ…。 最悪だな」
「ええ、アルマの両親が駆けつけてくれなければ、町は全滅していましたから。 でも、私はアイシアを憎まないようにしました」
「憎まないように?」
「ええ…」
リキュアの両親が、アロウズ王国の別動隊による無差別な虐殺の犠牲になったと聞いて、ケリンはイラついた。
だが、彼女はきっかけとなったアイシアを憎むことはしなかった。
「アイシアも自由を欲していましたから。 アロウズ王国が彼女の意志を無視して無理やり縛り付けようとしていたので、その後のアロウズ王国の壊滅は自業自得かと」
「ああ、その顛末もアイシアから聞いたなぁ」
「両親が死んで一人になった私をアルマが声を掛けて、ギルドに入ることにしたのです。 その時の適正チェックで『ビショップ』だと判明したのです」
「へぇ…」
そして、リキュアが一人になった時に、アルマの誘いで現在の『スカーレット』に入ることになり、彼女の『ビショップ』の適正もその時の適正チェックで判明したようだ。
「アルマが後を継いでマスターになった時は、彼女とアイシア、そして私の三人でやりくりをしていましたね」
「へ? 三人で?」
「はい。 アルマの両親やその時の冒険者は引退をして、国のお抱えの仕事に就くことになったので…」
「マジか…、大変だったんじゃ…」
「とはいえそれほどではなかったです。 アルマもアイシアも強かったので」
「ああ…、想像つくなぁ…」
「そのおかげで私も『ビショップ』としての実力もアップできたのです」
リキュアが目を閉じて過去の事を思い出しながら、ケリンに話すその様子をケリンはじっと見つめていた。
その時の彼女は、まさに儚い女性のような感じだったからだ。
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