追放剣士は新天地のギルドで花を咲かす

追放された剣士ケリンが新天地で紡ぐ冒険者活動記
イズミント
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メルア皇女との出会いと急な情報

公開日時: 2022年8月7日(日) 14:16
文字数:2,051

「見えた! あの町じゃないかな?」


「多分そうだろう。 規模もテッド皇子が拠点にしている町と同等だし」


 夜のギルド派の襲撃未遂から三日。

 あれ以降は、ギルド派の襲撃はなく、時折来る魔物の迎撃をし、トイレ休憩やコテージを使った宿泊を挟みつつ、ようやく目的地が見えてきたようだ。

 トイレ休憩から一時間走らせた所で、アルマが町が見えたと言ってきたのだ。


「しかし、三日前の襲撃は驚きました。 ケリンさん達の懸念が的中した格好でしょうけど」


「そうですね。 まさか、コテージの結界機能とアルマさんとフレアさんの多重結界まで無効化して私達を襲撃しようとするなんて……」


「ギルド派の連中ならやりかねないと思ったさ。 それより……」


「そうだね。 何でギルド派は結界無効化の技を使えるんだろうね。 魔王でもそんな技は持ってなかったしね」


「それに関して、これから出会うメルア皇女が知っていればいいんですが……」


 ギルド派が結界を無効化してまで襲撃しようとしていた理由を知って、驚きを隠せないアイシアとルーデシアをよそに、アルマは何故ギルド派が結界の無効化手段を持っていたかという疑問を呈した。

 彼女が言うには、今は封印されてる魔王でさえ、結界を無効化する力を持っていなかったようだ。

 そのことに関して、これから会うメルア皇女が知っていればと僅かな可能性に賭けるしかないのが現状だ。


「あ、町から何か出て来た」


「護衛騎士っぽいな。 もしや……?」


「お待ちしてました。 リーベル公国からこられた冒険者の方ですね?」


「はい、そうです。 『スカーレット』のギルドマスターのアルマです」


「『スチュワート』のギルドマスターのセリアです」


「我々はメルア・グラニュ・アレックス第二皇女の護衛の騎士団です。 アリス皇女様から話は届いており、あなた方が見えたのでお迎えに上がりました」


 町から出て来たのは、メルア皇女の護衛の騎士達だった。

 アルマ達の事は、アリス皇女から伝わっており、アルマ達の馬車が見えたので出迎えに来たという。


「こちらです」


 騎士たちに案内された先に前の町でテッド皇子が使っていた別荘と同じ規模の建物があった。


「この館でメルア様がお待ちです」


 そう言いながら、騎士の一人がドアをノックする。

 

「お入りください」


 ドアの向こう側からそう聞こえたので、騎士がドアを開けて中に入る。

 ケリンやアルマ、セリア達もそれに続く。

 そこには、シンプルなドレスを着た美しい少女が待っていた。


「ようこそ、『オルフィーナ』の町へ。 私がメルア・グラニュ・アレックス。 アレックス帝国の第二皇女で、テッドやアリスの姉ですわ」


「リーベル公国のギルド『スカーレット』のギルドマスター、アルマ・カトワールです」


「同じくリーベル公国にギルドを構えます『スチュワート』のギルドマスターのセリア・ソレスタルと申します」


「アリスから話は聞いております。 あなた方をお待ちしておりました」


 この少女こそ、第二皇女のメルア・グラニュ・アレックスだったようで、まず代表としてギルドマスターが挨拶をした。

 アルマ達の事はアリスから聞いていたようで、来てくれるのを心待ちしていたようだった。


「早速なのですが、明日には帝都に転移で向かいたいと思っております。 幸い、この館には別の国から来た冒険者達もおります。 彼らと私達で力を合わせてギルド派を壊滅させましょう」


「明日にですか?」


「はい。 どうやら道中の襲撃班が壊滅したのを受けて、即位記念祭りを待たずにクーデターを引き起こそうとしています」


「ええっ!?」


 メルア皇女から明日にでも転移で帝都に向かうと言われて、疑問を感じたアルマ。

 どうもケリン達によって道中の襲撃班が壊滅したのを受けて、エッジ皇帝の即位記念祭りを待たずにギルド派はクーデターを起こすようだ。

 それを聞いたセリアも驚いていた。


「急に仕掛けてきましたか。 という事は向こうは焦っていると?」


「ええ、ギルド派の襲撃班が貴方たちと今滞在している冒険者達の手によって次々とやられてしまったのを受けて、追い詰められている状況だという事です」


「だから、祭り前の襲撃に切り替えたのですか」


「帝都の警戒は、現在手薄ですからね。 そこを狙うしかないのでしょうね。 スパイを仕込ませた情報では明日に仕掛けるようです」


「だからですか……」


 ギルド派の襲撃班が壊滅したことによって追い詰められたギルド派は、まだ警備が手薄な祭りの前の時を狙うしかなくなったようだ。

 それが明日だというのは、メルア皇女がスパイを送り込んで得た情報で知ったのだ。


「とにかくせっかくいらしたのですから、まずはお食事でも。 その後に顔合わせと行きましょうか」


「分かりました。 みんなもそれでいいよね?」


「異論はないさ」


「私もです」


「私たちも問題ないです」


「では、まず食堂に案内しますね。 ついて来てください」


 まずは英気を養うために食事をすることにしたアルマ達。

 その後で、他の国の冒険者と顔合わせをするようだ。


 他国の冒険者との顔合わせに期待と不安を感じながらもメルア皇女に続く形で食堂に向かった。



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