約1ヶ月ぶりの更新です。
お待たせしました。
道中で出くわしたゲスラとエビラの二人の野良冒険者を駆逐し、連盟にも伝えたアルマ達は、スピードを上げて馬車を走らせていた。
「あいつらとの遭遇で時間を食ったからね。 馬車のスピードを上げるよ!」
「幸いここら付近は道がいいから、スピードを上げても揺れにくいな」
「油断は出来ないがね。 帝国のギルド派が潜んでいる可能性もあるから」
「うん。 シルス君は常に気配察知で警戒してね」
「了解!」
アルマがシルスに気配察知で常に警戒しておくように伝える。
シルスの職業の『忍者』に備わっている能力の一つである気配察知は、シルスが使えばかなりの広い範囲の気配を察知できる。
いざというときのレーダー的な役割としても重宝されている。
なお、セリアのギルド『スチュワート』にもシルスと同レベルの忍者を同行させているので、万全の態勢で目的地である『オルフィーナ』の町へ向かって行ける。
ギルド派をのさばらせない為に、アルマ達を乗せた2台の馬車はさらにスピードを上げて走っていくのだった……。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「アルマさん、フレアとユウナがトイレにと」
「わかった。 大体7時間は走らせてるから丁度良かったよ。 馬も休ませないといけないし、すぐにトイレを用意するよ」
エビラ達との戦いの後で、馬車を走らせてから7時間が経過した所で、『スチュワート』のメンバーが乗る馬車からセリアが顔を出してアルマに伝えた。
アルマから見ても馬の疲労が溜まっている様子も見受けられているので、丁度いいタイミングだったようだ。
広めの場所に馬車を止め、マジカルトイレボックスを使い、トイレを使用可能にした。
「相当我慢してたんだろうね。 ボクもそうだけど。 みんなでトイレに行く間は交代して周りを見張っておくようにね」
「分かった。 俺とシルスは最後でいい」
「じゃあ、その間はケリン君達で見張ってね」
「了解」
フレアとユウナが先に急いでトイレに入るのを見つつ、アルマが交代で周囲の見張りをするようにと指示を飛ばした。
ケリンとシルス、そしてトイレを無事に終えたユウナが最初に見張りをする。
「そういえば、ユウナさんも『忍者』なんだって?」
「はい。 私以外にもいますが、セリアさん曰く私はスチュワートの中では最優秀らしくて」
「実際、一緒に気配察知をしてみて実感してるよ。 彼女は僕よりも察知範囲が広い」
「うう……、シルスさんまで……」
「そういえば馬は誰が見てる?」
「フレアとアルマさんが見てますよ。 二人ともトイレは済ませてますし」
「7時間も走らせるという酷使だからな。 少しでも休ませないと馬がやられる」
スチュワート内で最優秀とされる『忍者』の職業を持つユウナだが、同じ『忍者』のシルスからしても気配察知の範囲が彼より広いそうだ。
それを言われたユウナは、顔を赤らめている。
話を変えようと試みたケリンは、ユウナに馬は誰が見てるのかを聞いたところ、既にトイレを済ませたアルマとフレアが今現在、馬を見ているという。
エビラ達との戦いが僅かながらロスを産んだという事もあり、7時間も走らせたからだろう。
二人の一生懸命な世話を見て、ケリンはそう感じた。
「あ、女子は全員済ませたみたいですね」
「じゃ、俺達も行くか。 少しの間、頼む」
「はい」
女子達が全員済ませたのを見て、ケリン達も済ませるべく、少しの間の見張りをユウナに任せて、トイレに向かった。
「見張りお疲れ様、ユウナ。 反応は?」
「幸い今のところないよ」
「そっか。 まぁ、いないに越した事はないけどね」
ケリン達がトイレに向かったのと同時に、『スチュワート』のマスターのセリアが労いに来た。
セリアからしたら、ギルド派等の襲来の可能性も考えている。
もちろん、何も起こらない事に越した事はないのだが。
「馬の疲労はどう?」
「今はルーデシアさんが回復魔法を使って疲労を回復させてるみたい。 あの人の魔法、馬にも効くみたいだし」
「すごいね……」
「ケリンさん達が終わったら出発になるからね。 ここだとギルド派に見つかりやすい場所だし」
セリア曰く、今の場所はギルド派に見つかりやすいので、今夜の宿泊場所を確保しやすい場所に移動するらしい。
無言で納得したユウナ。
「みんなー。 うちのルーデシアのおかげで馬の疲労が回復したから移動するよ」
「ケリンさん達も終わったみたいだし、出発だね。 ユウナは引き続き気配察知で警戒を強めてね」
「うん、分かったよ」
そう返事をしながら二人は馬車に乗り込む。
マジカルトイレボックスを処分した後で、馬車は目的地に向けつつ魔法のコテージが使える場所を探すために走り出した。
日ももうすぐ沈み、夜になろうとしていた……。
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