追放剣士は新天地のギルドで花を咲かす

追放された剣士ケリンが新天地で紡ぐ冒険者活動記
イズミント
イズミント

聞き取れた情報と襲撃

公開日時: 2021年7月1日(木) 13:27
文字数:2,136

「何の話を盗み聞きしたのかは察したけど、敢えて聞くわ。 何の話を聞いてしまったの?」

「話の前に、注文が来たから先に食べようか。 話はその後で」

 アイシアが敢えてアルマに何の話を聞いてしまったかを尋ねたが、ちょうど注文していた料理が来たので、先に食べることにした。

 この店で出された料理はどれも美味しい出来だったので、アルマ達は出された料理に舌鼓をうっていた。

 ケリンも今までで見たことのない料理に驚きつつも美味しそうに食べていた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 買い物と食事を終え、アルマ達は町を出た。

 アルマ達を乗せた馬車はさらに帝都を目指し北上する。

 町を出てから大体4時間ほど進んだ先の跡地で、トイレボックスを設置しトイレ休憩を行った。

 トイレ休憩を済ませた後で、アルマはみんなを座らせて飲食店で別の客から盗み聞きした内容を話すことにした。

「あの町の飲食店で他の客が話していた内容なんだけど、どうも即戦力主義のギルド一派は、反対派の冒険者を追放かその場での虐殺をしているみたいだよ」

「追放!?」

「それに虐殺!?」

 アルマが飲食店での他の客が話していた内容の一部を話し、その内容を聞いたアイシアとセリアは驚きの声を上げる。

 同様に盗み聞きしていたケリンは平然としていたが、他のメンバーも無言ながら驚いている表情を見せていた。

「やはり現皇帝の考えに理解する冒険者もいたみたいでね。 ギルド派はそれが邪魔だったんだよ。 だから、女冒険者は虐殺、男冒険者は追放がメインでやったんだよ。 虐殺もあるみたいだけどね」

「扱いが違うな。 何でそんな事が?」

「ギルド派を纏めている男がどうも極度の女嫌いらしくてね。 即戦力だけでなく冒険者は男だけの職業だと主張しているほどだよ」

「それで扱いが違うのか……」

「酷いですね……」

 極度の女嫌いのギルド派を纏めている男は、ギルドの考えを反対していた者のうち、女冒険者は虐殺オンリー、男性は虐殺と追放が半々で実行されていた。

 男女の扱いが違う事に、セリアやルーデシアは戦慄を覚えた。

「さらに街道の休憩所を撤去したのも、そのギルド派をまとめ上げている男が主導して行ったみたい」

「女嫌いだからって、わざわざ休憩所まで解体するのか……」

「まぁ、女性はトイレとかで足を引っ張る事もたまにあるからね。 だからリーベルやクレージュ共和国とかはいざという時の為にトイレボックスが売り出されているんだよ。 森とか山中の探索に備えて」

「じゃあ、その首謀者は女嫌いでかつ即戦力主義の筆頭というわけか」

「そうなるね。 だから圧縮式のトイレボックスを往復で500個くらいは最低でもあの町で買おうとしたんだよ。 帝国内は休憩所が撤去されてる関係で今のままじゃトイレができないから」

「まぁ、そこら辺は重大だからなぁ」

 アルマ達の話にある程度耳を傾けるケリン。

 アレックス帝国に巣くう歪んだ主義の張本人が即戦力主義だけでなく、女嫌いだという事で女性陣も呆れている様子だ。

「という事は、冒険者は即戦力の男だけという事になるな。 対応策とかは考えなくていいのか?」

「こればかりは、実際に目にしないと調べようがないし、対処のしようがないよ。 お互いが強力な武器を持つことくらいだね、今のところは」

「そうなりますか」

「とにかくまずは帝都を目指しましょう。 そうしないことには始まりませんし」

「うん、そろそろ出発しよう。 夕方までにこの先を北上した場所にある町に着きたいしね」

「そうですね。 スチュワートの皆さまも出発しましょう」

 アルマ達『スカーレット』のメンバーとセリア達『スチュワート』のメンバーは、それぞれに声を掛けるとともに馬車に乗り込んだ。

 トイレボックスは、アルマの水魔法で消滅させておいた。

 ギルド派の者たちにその存在が知られると厄介になるからだ。

 今日の目的の町を目指して、北へ向けて二台の馬車を走らせる。

「そろそろ夕方ですね。 何事もなければいいんですけど……」

「魔物やギルド派の奴らがのさばる時間帯でもあるって、飲食店のスタッフが教えてくれたからね。 もうすぐ見えてくるはず」

「マスター」

「シルス君、どうしたの?」

「左右から気配が。 盗賊とは気配が違う。 多分、ギルド派の奴ら」

「町へ着くのを妨害しようと襲ってきたみたいだね。 応戦の準備を」

「「「了解」」」

 シルスがギルド派の者たちの気配がしたというのを聞いたアルマは、メンバーに応戦の準備を指示する。

「アルマさん、左右で合計10人はいるそうです。 右は私達が応戦します」

「うん、ボク達は左の奴らを仕留めていくね。 油断しないようにね」

「もちろんです」

 馬車を停め、武器を手に戦闘態勢を敷く。

 同時に、ギルド派の冒険者達が一斉に襲い掛かって来る。

「【フレイム】!!」

「ぎゃあぁぁぁぁっ!! あちぃぃぃぃっ!!」

「くそっ! なんで女が冒険者やってやがる……!!」

「しゃらくせぇ!! 男の職業を汚す女を先に仕留めるぜ!!」

「おおっ!!」

「相変わらずの思想ですこと……」

 ギルド派の男たちの襲撃をアイシアがドラゴンシールドで全て防ぎ、隙を見て槍で反撃を仕掛ける。

「くそっ! この女、強いぞ……!」

「まぐれだ! 次は上手くいく!!」

 アルマ達はそんなギルド派の冒険者の思想に呆れながら、武器を持って応戦し始めた。

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