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「アイシアを取り返しに…ってことは君がリーベルに居る事が向こうにバレたと…?」
「そうです。 おそらくはどこかでアロウズ王国の密偵が紛れ込んでいたのだと思います。 丁度私がアルマと活動をしたことでそれが密偵によって向こうに伝わってしまったのです」
アイシアが俯きながら語る彼女の過去に、ケリンはそのまま聞いていた。
当時のリーベルにアロウズの密偵が入り込んでいたのだ。 丁度、アイシアが騎士としての力を付けて来たタイミングだったのだ。
「先ほども言ったようにあそこは『騎士』が今までいませんでした。 だから『騎士』を持つ私を大事にしたいという考えなのでしょうが…」
「やり方に問題があったんだよな。 さっき話していた強制見合いとか…」
「はい。 折角の自由を得たのに、これ以上縛られたくはなかったんです」
アロウズ王国は、アイシアみたいに『騎士』の力を持つ者がいなかった国であり、『騎士』の力を持つ者が現れたとなったら大事にしたいという事なのだろうが、アロウズはやり方がまずかったようで、結果国からアイシアが出ていくという結果になった。
アイシアは自由を欲していた事もあって、当時のような人を縛るようなやり方に嫌悪感を抱えていたからだ。
「両親はどうなったんだ?」
「両親はその間に処刑されたと聞きました。 正確には、事が終わった後にアルマの両親から聞いた話からですが…」
「最悪じゃないか…」
「ええ。 私もショックを受けました。 ですが、アルマの両親の計らいによってこのままギルドで働くことが出来ました」
「それで、今まで頑張ってきたのか」
アイシアの両親が処刑された事を聞かされたアイシア自身はショックを受けたに違いない。 だが、アルマの両親がフォローしてくれたおかげでギルドで働くことが出来たようだ。
彼女の頑張りはそこから起因しているのだろう。 そして、ケリンが理不尽な扱いを受けた事で怒りを露にするのも彼女自身が別の意味で理不尽を経験していたから…。
「話が前後しましたが、その時のアロウズ王国が攻めて来た時は、アルマならびにアルマの両親やリーベル公国からの応援があってアロウズ王国を退ける事が出来たようです」
「強いな…。 アルマの両親も…」
「そうです。 アルマの強さも両親譲りですから。 アルマが強くなった事で、アルマの両親からギルドマスターの権利を譲渡され今のギルドになったのです。 私も騎士としてアルマやそのギルドの仲間たちを守るとその時に誓いました」
「なるほどな…」
アイシアが今のギルドで働き続けるのもその過去があってこそ。 アルマがマスターになった事でアイシアも友達である彼女とギルドの仲間たちを守ることを決意したのだ。
「その後のアロウズ王国はどうなった?」
「滅びました。 他国からの批判と制裁が国の財産を直撃したらしく、国家破産を招き、さらに国民からのクーデターで王族も殺害された事で壊滅しました。 今は一つの町としてリーベル公国の領土となっていますよ」
「そういう事だったのか…。 今はリーベル公国の町として存在してるのか…」
その後はアロウズ王国は壊滅、今はリーベル公国の領土内の町として存在している。 アイシアの生まれた国が最後に壊滅するという結末を迎えたが、彼女自身は先ほどの話のトーンからしてそこまで悲観していないようだ。
「今では私もリーベル公国の民として、ギルド『スカーレット』の一員として過ごせることが幸せなんです。 だから、ケリンさんが今は壊滅したエリクシアで理不尽な扱いを受けたことが許せなくて…」
「ま、まぁ、そこまでしてくれるのはありがたいよ。 俺もアルマのおかげでここにいるようなものだし」
「ちなみに、アルマに声を掛けられてなかったら?」
「ソロで活動する予定だったよ」
「あ、あっさり答えますね…」
「まぁ、自分が生きるためにするしかないからね。 とにかく、俺は元孤児として生きて来たから恋愛感情とかは分からないけど…こんな俺でいいなら今後もよろしくお願いするよ」
「はいっ!」
一通りアイシアの話を聞いたケリンによる不器用な返事に対し、アイシアは笑顔で応える。 上手く伝わったようで、ケリンも安心したのだろう。
「あ、それとさっきの返事はリキュアにもしてあげてくださいね。 私とアルマ、リキュアはあなたの嫁になるんですから」
「ああ、『一夫多妻制度』を使うってアルマが言ってたなぁ…」
ケリンは頭を掻きながらアイシアの話を聞いた。 アルマが『一夫多妻制度』を使うというのを聞いたのを思い出したからだ。 だが、ケリン自身も満更ではなさそうなのが、憎たらしいのだが。
「そういう事です。 じゃ、帰る前にもう一狩りしましょうか」
「よしきた」
一通り話を終えたアイシアは、偶然現れた魔物に向けて一狩りしてから帰ろうとケリンに呼びかける。 ケリンもそれに応え、魔物に向かって走り出す。
なお、その時のアイシアとケリンが、楽しそうに狩っていたのをレナに見られるのは、また別の話である。
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