追放剣士は新天地のギルドで花を咲かす

追放された剣士ケリンが新天地で紡ぐ冒険者活動記
イズミント
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帝国の第三皇子と第三皇女

公開日時: 2021年7月4日(日) 14:25
文字数:2,236

 帝国の騎士団に案内されて着いた町は、アルマ達にとっても目的の町であった。

 リーベル寄りの国境の町『オリバーシルト』や国境を越えた先のアレックス帝国側の町よりはやや規模は小さめだが、それでも必要な施設は存在している。


「ここがアレックス帝国領内の南部の町、『アルシェス』の町です。 今は現皇帝派の拠点の一つとなっており、第三皇女と第三皇子がおられますので、ぜひお会いしてください」


「現皇帝派の拠点の一つ……」


「この町に皇子様と皇女様がいるなんてね。 プレッシャーが半端ないかも」


「でも、この際だから会っておこう。 後の行動がしやすくなるしね」


 シルスとアイシアが少し躊躇っているが、アルマは今後の為にも会っておいた方がいいと言った。

 ケリンとルーデシアは無言だが、アルマに同意している。


「スチュワートのみんなもいいかな?」


「そうですね。 アルマさんの言うように今後の為に動きやすくしたいので、会っておいた方がいいでしょう」


「では、こちらです」


 セリアもアルマの意見に同意し、騎士団は第三皇子と第三皇女がいる場所へと案内する。

 

「あそこの屋敷に、皇子と皇女がいるのか?」


「みたいだね。 多分そこでギルド派の冒険者を引き渡して牢に入れるんだろうね」


 騎士団に案内された先は、大きな屋敷だった。

 町長の屋敷よりは屋敷の規模が大きい。


「アリス皇女、テッド皇子。 ギルド派の冒険者の引き渡しとリーベル公国からの新たな冒険者方をお連れしました」


「お疲れ様、じゃあギルド派の冒険者はここの地下牢に入れておきましょう」


「はっ!」


「えっと、お姉ちゃん達はこっちに。 まず、馬車を置かないと。 それからお部屋に案内するね」


「あ、はい」


 テッドと呼ばれた皇子は、騎士たちと共にギルド派の冒険者を地下の牢屋に、アリスと呼ばれたやや幼い皇女はアルマ達の馬車を停める場所へと案内する。

 馬車を停めるスペース……通称『繋ぎ場』はかなり広いようで、何台かの馬車が停まれるようだ。

 アルマ達はそこに馬車を置いた後、馬車を降りてアリス皇女に先導される形で屋敷の中に入る。

 

「中は広いね。 やはりここは皇女様や皇子様のための別荘か何かでしょうか?」


「うん。 ここは元々私の別荘だったんだけどね。 今回のような件が起こった影響で、対ギルド派の拠点の一つになったんだよ」


「そうなのですか?」


「そうだよ。 折角、お母さん達のおかげで多くの人が冒険者などをやりやすくしてくれたのにね。 あ、大広間はここでおトイレはここだよ。 話が長くなる可能性もあるからおトイレに行きたい人は済ませてね」


 アルマやセリア、アイシアは大丈夫のようだが、スチュワートの他の女性冒険者はすぐにトイレに行ったようだ。

 まぁ、ギルド派の戦闘が思った以上に長引いたのもあるだろう。


「そういえば、もう一人の冒険者のお姉ちゃんは?」


「それに関しても代わりに話します。 少し訳ありの子を保護しているので……」


「うん、分かった。 テッドお兄ちゃんが来たらお話を始めるからね」


 フレアが居ないことに気付いたアリス皇女。

 その理由をセリアが代わりに話す事と、訳ありの子を保護しているという事で納得してもらった。

 スチュワートの女性冒険者がトイレから戻って来たのを確認し、大広間へ入る。

 そして、アルマやケリンがアリス皇女から指定された場所に座ると、テッド皇子が大広間へと入って来た。


「遅れて済まない。 じゃあ、話を始めようか」


 アルマやケリン、セリア達の向かい側にアリス皇女とテッド皇子が座る。

 

「僕はテッド・グラン・アレックス。 アレックス帝国の第三皇子です」


「私はアリス・グラニュ・アレックス。 アレックス帝国の第三皇女。 道中のギルド派の冒険者の対応、本当にありがとう」


「いえ、私達はリーベル公国の大公様から介入依頼を受けてこちらに来たので……」


「この場所でもギルド派の冒険者が潜んでいたのは驚きましたしね。 私はアルマ・カトワールです。 黒魔術師でリーベル公国の町の一つ『アルスト』の町を拠点にしているギルド『スカーレット』のギルドマスターであります」


「私はセリア・ソレスタルと申します。 剣士でリーベル公国内の町『オリバーシルト』に拠点を構える『スチュワート』のギルドマスターです」


 アルマ、セリアがギルドマスターとして率先的に自己紹介を始め、他のメンバーも自己紹介をする。


「次は俺か。 俺はケリン・ストラトスです。 今は亡きエリクシア王国出身ですが、現在は『スカーレット』のメンバーで剣士です」


「ケリンって……、お友達のエルザちゃんを助けたあのケリンお兄ちゃん?」


「はい、そうですが」


「わぁ♪ エルザちゃんのお友達として会ってみたかったんだけど、こうして会えるなんて思わなかった」


「あ、はしゃぐ気持ちはわかりますが、今は……」


「そうだった。 重要な話をしないといけないんだった」


 ケリンの自己紹介でアリス皇女の目がキラキラした様子になり、興奮した様子でケリンの手を握ってきた。

 ケリン自身がそんなアリス皇女を諫めて、話を戻させる。

 だが、エルザ王女とアリス皇女が友達同士だったのには、ケリンだけじゃなくアルマ達も驚いていた。


「まず、この度は各国首脳経由での介入依頼を受けて下さった事に感謝いたします。 アルマさん達に今の帝国の現状を改めてお話しようと思います」


 テッド皇子がそう言って、介入依頼を受けてくれたアルマ達にお礼を言った。

 現皇帝が、各国首脳経由で介入依頼を出していたようだった。


 そして、そのままテッド皇子は帝国の今の現状などについて話を始めた。 



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