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ケリンはリリのお願いで、彼の部屋へリリを案内した。
アルマからも一緒にいてあげてという頼みもされているから、何も問題はないのだろうが…。
「リトは相変わらずユリアちゃんと遊んでたな」
「可愛い弟や妹が欲しかったみたいですよ。 リトは双子とはいえ弟ですし…」
途中でリトの様子を見に行ったが、やはりリトは赤ん坊のユリアと遊んでいたようで邪魔すると悪いとの事でこっそりと離れたみたいだ。
あそこにはエクレアやリキュアがいるし、問題はないだろう。
「さ、着いた。 ここが俺が住んでいる部屋だよ」
「わぁ、そこそこ広いですね」
「お菓子とか用意するから、テーブルの近くで待っててくれ」
「はーい」
リリをテーブルのある場所に座らせて、ケリンはお菓子を用意した。
クッキーがメインだが、これはアルマからプレゼントされた物でもある。 量が多いので一人では食べきれないので、内心は良かったと思っているだろう。
「わぁ、このクッキー美味しそうです」
「ギルドマスターのアルマから貰ったものだからな。 遠慮なく食べてくれ」
「ありがとうございます。 いただきます♪」
リリが嬉しそうな表情で、クッキーを頬張る。
ケリンがその様子を見て、可愛いと思ってしまったのは内緒にしておこう。 リリはケリンからしてみたら年下の子なので、保護欲が湧いて出るのだろうか。
「そういえば、ケリンお兄さんは別の国…エリクシアでしたっけ? そこで酷い扱いだったっていうのは…?」
「本当の話さ。 それも該当の国が滅んだからもう過ぎた話だけどね。 あそこはパワーが正義の脳筋主義の塊だから『剣士』や『ビショップ』は不遇な扱いをされたのさ」
「ということはお兄さんも?」
「そういう事さ。 俺も『剣士』だったから理不尽な扱いを受けたよ。 しかも、入るギルドは国の指示でしか入れないから、自分の入りたいギルドなんて選べなかったさ」
「帝国よりも酷い国だったんですね」
ケリンが今は滅びしエリクシア王国において理不尽な扱いを受けていた事や、ギルドには個人の判断ではなく国の裁量で決められていた事を話し、それを聞いていたリリは常に驚きを隠せないままだった。
帝国よりも酷い国があったことに、衝撃を受けたようだ。
「そして、俺はそのギルドを追放された時は正直な話やっとかって思ったよ。 加入も自由に出来なければ脱退も自由にできなかったしな」
「それもそれで悲惨ですね…」
「そのおかげでこのリーベル公国でアルマに出会ってスカウトされて、このギルドに入ったんだ。 みんないい奴で話しやすかったよ」
「それはあの時のアルマお姉さんやエクレアお姉さんたちを見ればわかります。 いい人達ですよね」
「たまに酒乱な奴もいるけどな」
そして、ケリンの追放の話、そしてその後のアルマからスカウトされてこのギルドに入った話もした。
リリもアルマ達の優しさに触れているために、ここに来てよかったと思っているだろう。
「確かリリも剣士だったよな?」
「はい、私もリトも剣士ですよ」
「じゃあ、明日正式に加入が決定したら、俺の教えられる範囲内で剣士の戦い方とか改めて教えていくよ」
「ありがとうございます。 後でリトにも伝えておきますね」
「リトはまだ喋れないだろうから、彼は先にそれを地道に治す事を優先らしいけど。 アルマのプランで」
「ああ、なるほど。 実はあの時に話したリトの喋れなくなった本当の理由がありまして…」
「本当の理由?」
「ちょっと恥ずかしい理由でしたので…お兄さんにならお話しますよ」
リリが話す、リトが喋れなくなった詳しい理由は恥ずかしさも混ざっているみたいで、少し顔を赤らめていたがケリンには話したいと思ったようだ。
余程ケリンを信頼しているのだろう。 リリは、その理由を話し始めた。
「実はギルドを追放されてから、帝国を出てリーベルに向かう道中でかなり強い魔物に出会ってしまいました」
「強い魔物は、あの時にも言ってたが、その時はサイクロプスだと言ったが、実は違ったのか?」
「はい。 実はサイクロプスよりも危険なダークグリズリーという熊の魔物でした」
「よりによってAランクの魔物かよ…」
「はい。 確かにサイクロプスの時も恐怖はありましたが、ダークグリズリーよりは戦いやすかったのですが…」
ケリンは、ダークグリズリーの事を知っていた。
当時、レーツェルとエルザを無意識で助けた時に、八つ当たりで倒したのがダークグリズリーであった。
Aランクの強さだが、エリクシアの脳筋主義者やケリンにとっては敵ではない程に弱かったので意識はしていなかったが、他の冒険者から見たら脅威に感じるレベルだ。
八つ当たりで倒したと言っても、奴自体は極めてタフで強かったので後で調べてみた結果がAランクモンスターだったという事実。
知らぬ間にそんな魔物を倒した結果、レーツェルと友人になり、エルザからも懐かれたのだ。
「その時は、これも先ほど言いましたがリトの覚醒し、スキルが発動したおかげで一撃で倒せたそうです」
「どんなスキルなのかは気になるが…、そこはリトが頑張ったんだな」
「はい、ですが…私はグリズリーの威圧に恐怖して…、その影響で漏らしちゃったんですよ」
「…え?」
リリが離した内容にケリンは少し固まってしまった。
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