約5か月ぶりの更新です。
お待たせしました。
「よし、今日はここで一眠りしよう」
日が沈み、夜になった所で馬車を止め、アルマの一声で魔法のコテージを用意する。
幸い、止まった場所が森の中なので、目立つことはないだろうが、念を入れて結界を張るようだ。
用意された二つのコテージは、『スカーレット』用と『スチュワート』用のコテージとなっており、それぞれ所属しているギルド用のコテージに移動する。
なお、少年は『スチュワート』用のコテージで、フレアと一緒に寝る予定だ。
「それじゃ、夜食を食べてから一眠りしよう。 朝は早いからね」
「俺とシルスはもう少し周囲を見張っておくよ」
「え!?」
ケリンとシルスが二つのコテージ周辺をもう少し見回ると言った事に、アルマを含めた他のメンバーは驚いていた。
「この周辺はアルマさんとフレアさんが多重に結界を張っているから大丈夫なハズですが?」
「出発前にアリス皇女から聞いたんだが、ギルド派の中にその結界自体をすり抜ける事が可能な人員が集まっていると聞いてな」
「結界をすり抜ける!?」
「うん。 あの『リグレッド魔法国』の冒険者達が全滅したのも、そいつらを連れていたからだって聞いてね。 結界が張ってあるからという油断を突いて来るかも知れないんだ。 リグレッド魔法国の冒険者襲撃も今のように結界を張ってコテージで休んでいた時期だったらしいからね」
ケリンとシルスは、出発前にアリス皇女からギルド派の新たな情報について聞いたらしい。
リグレッド魔法国の冒険者達が全滅したのも、今アルマ達が結界を張ってコテージで休もうとしている最中で、ギルド派が結界自体をすり抜ける事が可能な能力を持つ者を引き連れて襲撃したからだという。
なので、シルスとケリンは可能な限り周辺を見回わろうというわけだ。
「なるほどね。 なら、少しの間は見張りをお願いするね。 ボク達はお風呂とトイレは済ませておきたいから」
「私の使い魔も見回りに使いましょう。 広い範囲なら察知出来ますから」
「フレアさん、使い魔も使役できたのか……」
「うちの『スチュワート』のメンバーの中では万能な魔術師ですから。 メインは黒魔術師ですが」
理由を聞いたアルマが、少しの間の見回りを二人に頼む傍らで、フレアが複数の鳥の使い魔を見回りをするために出してきた。
フレアが使い魔まで使役できる事に驚いたケリンだが、セリアから彼女が万能な魔術師だからと聞いたら納得した。
「それじゃ、フレアさんの使い魔とケリン君とシルス君で少しの間、見回りをお願いね。 お風呂やトイレを済ませたら声を掛けに来るから」
「ああ、アルマ達も油断しないようにな」
「はい。 じゃあ、先にコテージに入りますね」
アイシアの返事の後に、アルマ達は各コテージの中に入って行った。
「俺達は見回りを始めるか。 俺はこの辺りを見回ってくる」
「なら、僕は反対側から見回りをしよう。 使い魔を上手く利用して、襲撃を阻止しよう」
「ああ。 気をつけろよ」
ケリンとシルスも二手に分かれて、コテージ周辺の見回りを始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ふふふ、奴らはあそこのコテージにいるな」
「結界が張ってあったようだが、我々には無意味なんだよなぁ」
一方で、ギルド派の襲撃部隊の者達はアルマ達が設置したコテージの周辺を今までステルス魔法を使って待ち伏せをしていた。
やはり、ギルド派の襲撃部隊のメンバーの中に結界をすり抜ける事が可能な者達を引き連れていた。
「襲撃するの場所はあそこがいいな」
「ほぉ、トイレか。 奴らがそこに向かう最中に襲撃してしまえば……」
「人質を取るにも有効だな」
そしてギルド派の襲撃部隊のは、アルマ達がトイレに行くところを狙って襲撃しようと目論んでいた。
流石のアルマ達もトイレの途中で襲われて人質にされてしまえばひとたまりもないだろうと考えていた。
「ん?」
「何だ、鳥か?」
そこに彼らの上空に鳥が旋回している事に気付いた。
その鳥が、フレアの放った使い魔だとも知らずに。
「鳥は放って置け。 さっさと襲撃し……げはぁっ!?」
「な……!?」
襲撃部隊のリーダーが突如斬られ、そのまま倒れて絶命する。
他の面子もその様子に驚く。
「一体どこから……ぎゃああっ!!」
「あわびゅっ!?」
「ぎにゃあっ!?」
次々と急所を突かれたうえで、首を斬られて血を吹き出しながら絶命する。
その屍の傍に現れたのは……。
「やはり、襲撃しようとしていたか……。 ケリンの方も終わったみたいだし、これで大丈夫だろう。 君もご苦労様」
シルスだった。
この付近を見張っていたシルスは、フレアが使役する鳥の使い魔が旋回しているのを見つけ、すぐにそこに駆け寄ったと同時に襲撃部隊の者を暗殺していったのだ。
ケリンの方も同様に襲撃部隊が待っていたようで、すぐに対処したようだ。
シルスは鳥の使い魔を労うと、すぐにケリンのいる方向に向かった。
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