約5か月ぶりの更新です。
お待たせしました。
「それでは行ってきます」
「道中お気をつけて。 魔法のコテージや『マジカルトイレボックス』も有効に使ってくださいね」
「コテージだけでなくトイレボックスまで補充してくださって感謝します」
「メルアお姉ちゃんに会ったら私達は元気だと伝えてね」
「分かりました。 それではいい報告を持ち帰れるようにします」
翌朝。
テッド皇子とアリス皇女に見送られながら、アルマ達『スカーレット』とセリア達『スチュワート』は、『アルシェス』の町を出た。
出発前にテッド皇子が魔法のコテージ6個だけでなく、『マジカルトイレボックス』を30個ほど補充してくれたようだ。
アルマはそれに関しても感謝の意を示し、馬車に乗って町を出たのだ。
目的の場所は、『オルフィーナ』の町。
昨日、テッド皇子が示した帝都への近道ルートにその町を経由するのと、現皇帝派の一人の第二皇女のメルア・グラニュ・アレックスがその町にいるという。
アリス皇女が昨日連絡を入れたようなので、向こうに着いた際に出迎えの準備をしているとの事。
「さて、今日一杯で行けるところまでいくよ。 当然トイレ休憩を挟んでだけどね」
「分かった。 ギルド派の奴らが待ち伏せしないとも限らないからな」
「僅かにも遅れたらギルド派のクーデターにやられますしね」
アルマのギルド『スカーレット』の馬車とセリアのギルド『スチュワート』の馬車は横並びで並走しながら、目的地まで行けるところまで行くとアルマは言った。
トイレ休憩を挟みつつではあるが、やはりグズグズしていたらギルド派のクーデターに帝国が支配される可能性もあるからだろう。
また、ケリンが言うようにギルド派の冒険者の待ち伏せがないとは限らないからだ。
「で、件の少年は?」
「スチュワートが乗る馬車で、フレアの隣に居させてる。 留守番させることも考えたけど、フレアがいない場合に悪夢にうなされる可能性が高いからね」
「ああ、彼女の温もりで安心したせいでか……。 一種の依存かもな」
「あんな目に遭った後じゃ、依存状態になってもやむなしかもね。 僕としては事が終わった後に、カウンセリングする事を勧めたいけど」
「シルス君の言うようにカウンセリングは必要だね。 スチュワートにはそれに長けたメンバーがいるし、あの子の事は任せてもいいかもね」
そして、スチュワートのメンバーの一人のフレアが保護した少年については、引き続きフレアの付き添いで同行させている。
アルマ曰く、テッド皇子の別荘で留守番させる方法もあったが、フレア不在時に悪夢を見る可能性もあったため、今回の決断をしたという。
幸い、スチュワートにはカウンセリングが得意なメンバーが、留守番しているので帝国の件が終われば少年は、スチュワートに任せる事も可能だ。
「とにかく、いつどんな状況になってもいいように準備だけはしておくようにね。 トイレ休憩ができそうな場所も含めて」
「はい」
「分かった」
そして、何が起きてもいいように準備だけは怠らないようにとアルマが指示する。
武器の手入れや食料の確認をしているメンバーを乗せた馬車二台は、そのまま目的地へ向けて走っていくのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「よし、ここならトイレ休憩できそうだね。 みんな、馬車を停めて休憩するよ」
馬車を走らせて5時間くらいは経っただろうか。
やや深めの森林道を通って、広場に出たところでアルマの指示でトイレ休憩をすることになった。
マジカルトイレボックスを2つ取り出して設置、設置完了後には2人ずつトイレに入ると言う形になった。
ケリンとアルマもすぐに済ませて、見張りをする時にアルマが話しかけて来た。
「今のところは順調だね」
「ああ、5時間走らせて何もなかったからな。 でも、ここからじゃないか?」
「そうだね。 特にここは森林だから、狙われてもおかしくはないしね。 警戒するに越したことはないよ」
「早く終わらせてユリアちゃんや子供たちと触れ合いたいしな」
「そうだね。 子供たちやリリちゃんやリトくんの為にも早く終わらせないとね。 ボク自身もケリン君とあれこれしたいしね」
「おいおい、アルマ……」
一部アルマからとんでもない発言があったが、なるべく早く終わらせて子供たちと触れ合おうと改めて決意をした二人。
「皆さんが無事にトイレ休憩を終わらせましたよ」
「よし、じゃあボックスは廃棄して、馬車に乗り込もう。 さらに行けるところまで行ってから次のトイレ休憩にするから」
「はいっ!!」
「む……?」
「シルス?」
「どうしたの?」
使ったトイレボックスを破棄して、馬車に乗り込もうとしたところ、シルスが立ち止まった。
ケリンとアルマがどうしたのかと声を掛ける。
「気配がした。 二人だ。 こっちに来る」
「まさか、ギルド派?」
「にしてはおかしいな。 シルスの気配じゃ二人だったし」
シルスがこっちに来る二人の気配を感じたようで、みんなが警戒を強める。
「う、うわぁぁぁ!」
「ど、どうしたの!? 落ち着いて!!」
「二人が、あの二人が見えたぁぁ!!」
スチュワートの馬車に乗り込んだ少年が苦しみだし、フレアが何とか宥めている様子をアルマは見た。
少年が苦しむレベルの二人からして、アルマは察したようだ。
「みんな、やるよ。 あの二人が来たみたい」
アルマがそう言うと、ケリンを含めた全員が構える。
そして、その人影が姿を現す。
「な、何故ここに……!?」
「やっぱりお前たちだったかぁ。 ゲスラ・アークムとエビラ・エヴェル」
「こいつがあの少年を苦しめた根源、そしてアポなしでアルマのギルドに突撃した奴か」
少年を追い詰め、アルマのギルドにもアポなしで突撃してきた例の女二人とアルマ達がここで遭遇したのだ。
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