「ふぅ……。 予感的中したなぁ」
ため息を吐きながらケリンは、屍となったギルド派の冒険者達を見下ろした。
何人かは両手両足を切断されており、成すすべもなく死んでいったような感じだった。
「やはり結界をすり抜けて来やがったか。 しかもアルマ達がトイレや風呂に行くところを狙おうとは……とんだ連中だな」
ケリンは、フレアが派遣した鳥の使い魔を通してギルド派の目的を聞いて悪態をついた。
女嫌いが多いギルド派は、隙のある行動を狙って人質にとっては羞恥を与える予定だったのだろう。
思い出すだけでケリンはかなり腹を立てていた。
「ケリン、そっちも終わったのかい?」
「ああ、しっかり片付けた。 そっちもか?」
「うん。 僕が見回りしている方角にも潜んでた。 白いローブを着ている男が結界をすり抜ける事が可能な力を持っているようだった」
「あそこにもいる白いローブの男か。 道理で……」
そうしている間に反対側からシルスが来た。
そうやらシルスの担当の方角にも潜んでいたようで、白いローブの男が結界をすり抜ける技を持っていたようだ。
「他にそういうのがいないかをフレアから貰った鳥型の使い魔が調査してる。 あの使い魔はステルス性能の魔法すら見抜けるから有能だよ」
「すげぇな、フレアさんの使い魔は。 で、どうだった?」
「他の方角にはいないみたいだ。 でも油断は出来ないから朝になるまで見回りするみたいだよ」
「確かに使い魔は長時間の見回りにも平気で出来るからなぁ。 じゃあ、アルマに報告しようか」
「そうだね」
ひとまず潜んでいるギルド派の冒険者を駆逐したという報告をするために、アルマのいるコテージへと向かったのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「そっか……。 本当に結界をすり抜けて襲撃しようとしてたんだ」
「ああ、奴らの中に白いローブを着た男を連れていたから、多分そいつらが結界をすり抜ける事が可能な技を使ったのだろうな。 もう屠ったけど」
「分かった。 明日の朝に連盟に伝えるよ。 それで、他の待ち伏せはいないんだね」
「ああ、フレアさんが使役している使い魔を何体かで見回ってるが、気配はない」
「フレアの使い魔はステルスすら無効化するしね。 信頼できるかな。 じゃあ、ケリン君もお風呂に入って寝るようにね」
「そうするさ。 疲れたしな」
コテージに戻り、シルスを先に風呂に行かせてケリンはアルマに報告をしていた。
ケリンやシルスの予想通りにギルド派の者が結界をすり抜けて襲撃しようとしていたことに恐怖で身体を震わせるが、その目的についてはケリンは話さなかった。
ひとまずケリンはアルマと別れて自分用の部屋の風呂に入った。
「ふぅ……」
襲撃の予感を感じて神経を注いだ事もあってか、風呂に入ると安心感で眠りそうになる。
風呂で眠ってしまい、溺れて死ぬのだけは流石に勘弁したいのか、すぐに目を覚ましたが。
(このコテージの湯、どうやって作ってるのかは分からないけど、いい湯だな)
そう心の中で嘆きながらケリンはゆっくり疲れを癒していく。
だが、突如風呂の扉が開く音がした。
「何だ!?」
音に驚き、ケリンは振り向く。
そこには……。
「やっほー、ケリン君」
「あ、アルマ!?」
バスタオルを巻いたアルマが何故かケリンに当てられた部屋の風呂に入って来たのだ。
「ちょっ!? 風呂やトイレは済ませたんじゃないのか!?」
「済ませたのはトイレだけだよ。 お風呂はこの時の為に入らなかったんだよ。 アイシアは入っちゃったけどね」
とんでもない事をあっけらかんと言うアルマにケリンは顔を赤らめながらそっぽを向く。
(アルマ、意外と胸が大きい……。 巨乳ではないけど……)
ケリンはアルマの胸を見てしまったようで、心の中でそう嘆いた。
彼女が着痩せするタイプなのが、ここで初めて知ったのだ。
「こういう時しか機会がないしね。 一緒に入って洗いっこするよー」
「うぐぐ……!」
(た、頼む……! 保ってくれ、俺の知性……!!)
無防備な姿を見せるアルマにケリンは何とか理性を保とうと踏ん張る。
アルマの誘惑に負けて、お互い洗いあったりしたが、何とか自分の理性は保ったようだ。
だが、風呂に入った後のケリンは寝間着に着替えた後すぐにベッドに飛び込んで寝たので、その後の記憶は飛んでしまったようだ。
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