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「ただいま」
「お帰りなさい…って、あらその子達は?」
ギルドに帰ってきたケリン達を迎えに来たのは赤ん坊のユリアを抱っこしていたリキュアだった。 そして、すぐにケリンの手を繋いでいる少女とその隣にいる少年に気付いたようだ。
「アレックス帝国のギルドから追放された双子の剣士の子達だよ。 リリちゃんとリト君だって。 ひとまずうちで保護する事になったよ」
「後、リト君は追放されたり、色々あったショックで喋れない状態です」
「そうなの…」
アルマとエクレアが事情を説明し、リキュアを納得させた。
理由についてはおそらく後で話すつもりなのだろう。
「あー、あー」
「あれ、ユリアちゃん?」
リキュアに抱っこされている赤ん坊のユリアがリトに手を伸ばそうとしていたようで、ケリンとリキュアは驚いていた。
リト自身も、突然の事にキョトンとしているが、ユリアが手を伸ばすのをやめないため、リキュアはリトにゆっくり近づいた。
「あーうー」
するとユリアの手が、リトの頭に置いたと思えば、その小さな手で撫でてきた。
そんなユリアの行動に皆はびっくりしたが、リトは優しくユリアの頬に触れていた。
「きゃっ、きゃっ」
意味が伝わったのかは分からないが、リトが頬を触った直後にユリアが笑顔で喜んでいた。
「ユリアちゃん…でしたっけ?」
「うん。 ボク達のギルドは孤児院もやってるからね。 ユリアちゃんは、赤ん坊の孤児なんだよ」
「すごくいい子ですね。 喋れないリトを慰めようとしてくれたんですよね」
「そうだね…」
その様子を見ていたリリは、アルマに話しかけた。
赤ん坊ながら、リトの辛さを感じたのだろう。 ユリアなりに慰めてあげたかったのかも知れない。
「リト君とユリアちゃん、すぐに仲良くなったな」
「そうみたいですね。 そろそろ事情を話したほうがいいかも…」
「そうだったね。 エクレアはごめんだけどリト君とユリアちゃんをお願いできる?」
「分かりました。 じゃ、リト君行きましょうか」
リキュアはエクレアにユリアを任せて、ユリアを抱っこしたエクレアがリトを連れてリビングに向かった。
それ以外のメンバーとリリは、事情を話すために広間に集まった。
そして、アルマが先に口を開き、説明し始めた。
「さて、リト君とリリちゃんの件だけど…、さっきも言ったようにアレックス帝国のギルドから追放されたみたいなんだよ」
「うん、それは確かに聞いたね。 でも、その理由は双子というのは…」
「双子である私とリトは強さが半分になっているからです。 それが理由で追放されたんです」
リリが、リキュアに自分たちの追放の理由が双子なので、強さが半減したことが理由だと教えた。
「強さが落ちるからという理由で追放だなんて…」
「どうもあの国のギルドの大半が即戦力を求めていたようでな。 皇帝が変わってもなお、即戦力至上主義を掲げて反逆の意志を示しているみたいなんだ」
「エリクシア王国とは違う意味で酷いですね…」
ケリンは、アルマから聞いた話を思い出しながらだが、帝国のギルドの思想などを説明した。
聞いているリキュアは、表情を歪ませながらそう言った。
「私とリトがギルドを追放された後は、最低限の荷物しか渡されませんでした。 ですが、このままでは帝国に居場所はないのでリーベルに向かおうとしました」
「ここと帝国が隣国とはいえ、徒歩で行くには遠すぎるよ。 二週間はかかる距離だよ」
「なので、狩れる魔物だけを狩って途中の町の買い取り屋で宿屋と食事の分を確保できるようにしました」
追放され、最低限の荷物しか持たせてくれなかった双子。 宿と食事代を確保するために道中で狩れる魔物は狩って行ったという。
言ってしまえばそれでなんとか食いつないだと言えよう。
それを聞いたケリン達は開いた口が塞がらないような状態になっていた。
「リトが喋れなくなったのはもうすぐリーベル公国に着く日の時でした。 その時、不意にサイクロプスという強めの魔物に出会ってしまったのです」
「サイクロプス…確かBランクの強さを持つ一つ目の魔物だったね。 生息数は少ないって聞いたけど、悪い意味で当たりを引いてしまったんだね」
「ええ、私は恐怖で身動きが取れなかったのですが、リトは必死でサイクロプスに斬りかかりました」
「…結果は?」
「リトのスキルが発動して、サイクロプスは一撃で屠れましたが、その直後の私の様子を見てショックを受けたのです。 それが自分のせいだと思い込んでその結果喋れなくなったのです」
「ああ…、追放された事でストレスが溜まっていたのがさっきの件でさらに抱え込んでしまったんだね」
「そうです」
追放されてリーベルに来るまでの間に起きた出来事で、リトのストレスが爆発し、結果声が出なくなった…。 これが真相だったのだ。
「リリも大変な目に遭っていたんだな…」
「あ…」
ケリンが不意にリリの頭を撫でていく。
撫でられたリリは、顔を少し赤らめるがどこか嬉しそうな感じだった。
「アルマさん」
「あれ、エリューシア?」
そんな時、エリューシアがアルマの元に訪れた。
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