まだヒューヒュー言ってるバーカウンターの輪に、うるせーよ!と言いながら飛び込んでったそうちゃんの後ろ姿を、ソファーに座って見ていた。
完全に向こう側のバーカウンターのことを忘れていた...
わたしからそうちゃんにkissしたの、全部見られてたなんて、ほんとに恥ずかしい...
顔を手で覆って下を向いた。
でもしょうがないじゃない!
どうしてもそうちゃんにkissしたくなっちゃったんだから!
完全に開き直って顔を上げると、そこには見知らぬイケメンが...
「あんたが噂の来蘭ちゃん?」
明らかに好意とは反対の意思を感じる目をしてわたしを見下ろしていた。
「なんだ、普通じゃん!つーか普通以下じゃん!」
え?何この人...
あぁ...でもこれが本来のわたしの扱いなんだった...ブス、デブ、キモい、ウザい...そんな言葉を投げられることなんて日常茶飯事だったじゃない...
「あいつらが騒いでるから、どんなもんかと思ったら、全然大したことないじゃん!」
そう言って馬鹿にしたように笑った。
「ちょっと男にチヤホヤされたからって、勘違いしないほうがいいよ?」
わー、言いたい放題だな...
なんだか怒りの感情よりも、あとどんな言葉を浴びせて来るんだろうという好奇心の方が勝ってしまって、ボールを投げ遊びしてる犬みたいな顔して彼を見上げていたら
「なに?あんたドMなの?なにそんなもっとちょうだいみたいな顔してんの?面白すぎる」
そう言って腹を抱えて笑い始めた。
なんかちょっと勝った気がして、腹の中でガッツポーズした。
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