〈来蘭side〉
そうちゃん...今おでこに...kissした...?
え?
ハッと我に返って隣の席を見る...
そうちゃんもう居ない...
わ、わたしも行かないと!
まだちょっと顔が熱いけど、鞄を抱え旧館にある図書室へと向かった。
初めて足を踏み入れる図書室...湿った紙の匂いと、ほこりっぽさを感じる。
図書室内には数名の生徒の姿があったが、それぞれ自分の世界に入り込み、読書をしていたり、勉強をしていて、他人のことなど気にする様子はなかった。
書庫は、図書室の1番奥にあった。
その中で何が待ち受けているのか、やっぱり恐ろしかった...でも、逃げるのもいやだった。
扉を開けて、中に足を踏み入れた。
「うわー、ほんとに来たんだー」
「うけるー」
「なに?告白でもされると思ったの?」
「だとしたらマジでビッチじゃん」
女子トイレで見た子たちだった...
震える足を押さえながら、応戦すべく声を発した
「机の中入ってた紙に、ここに来るように書いてあったから来ただけです!なにかわたしに用があるから呼び出したんじゃないんですか?」
「うざっ!」
「別に用なんかないし!綾に頼まれただけだし」
「ちょっと吉田ー、うざいからやっちゃいなよー」
「あ?」
女子2人だけかと思ったら、奥から男子が出てきた...
過去に男子に乱暴された記憶がフラッシュバックする...
うっすらと笑みを浮かべて襲いかかってきたその瞬間、その後ろに人影が現れ、ドラムスティックが振り下ろされた!
わたしは思わず目を瞑り、次の瞬間目を開けると、そこに居たのはドラムの菊池先輩だった!
「行くよ!来蘭ちゃん!」
先輩にぐいっと手を引っ張られ、走って図書室から出ると、吉井先輩と廣瀬先輩とギターの菊池先輩が待っていた。
書庫から追いかけてきた女子2人と男子1人を、先輩たちが捕まえてる...
わたしはもう、なにがなんだか分からぬまま、へたり込むしかなかった...
そこに駆け付けてくる2つの足音
それはそうちゃんと陽介くんだった。
「大丈夫か!来蘭っ!」
そう言うと、そうちゃんはわたしを抱きしめた。
先輩たちが捕まえた3人を、わたしとそうちゃんの前に突き出して言う
「こいつらどうする?」
「おい吉田!てめぇ来蘭に何した!」
そうちゃんが胸ぐらを掴んで怒鳴りつけた。
「大丈夫だよ、なんもしてないよ、襲いかかりそうになるところで俺がコレで殴ったら、途端に大人しくなったから」
と、菊池先輩がドラムスティックで取っ組み合う男子2人を剥がした。
「それよりこの女子2人の方のがよっぽど陰険な言葉吐いてたなぁー」
と言いながら吉井先輩が緑川さんと関野さんの頬をペチペチと叩いてる...2人とも吉井先輩の色気にやられてしまって顔を赤くしている。
「やめてあげて!」
声する方を振り返ると、そこには白石さんが立っていた。
「あたしが3人に、頼んだの」
そう言うと、白石さんはわたしの前に来て頭を下げた。
「ごめんなさい。わたしがあなたをここに足止めしておくように頼んだの。だから3人を許してあげて。
それと...奏太と話す時間をくれてありがとう。
あなたが奏太に行けって言ってくれたんでしょう?じゃなかったら、奏太は来てはくれなかった。
安心して?ちゃんととどめ刺されたからあたし」
それだけ言うと、3人を連れて図書室から出て行った...
「なにあの子、ちょっとかっこいいじゃん」
吉井先輩がニヤリとした。
「お?久しぶりに吉井がロックオンしたぞ」
「また落とすだけ落として飽きちゃうパターンだろ?」
「確かに綺麗な子だったねぇ」
先輩たちが、わいわいしながら図書室を出てこうとしていた。
「先輩方!ありがとうございました!」
そうちゃんが大きな声で言った。
先輩たちは、手だけ「おぅ!」と挙げて
「陽介!ほらお前も行くぞ!」
と陽介くんの肩を抱きながら行ってしまった。
先輩たちと陽介くんの後ろ姿を見送り、なんとなく見つめ合うと、さっきのおでこのkissを思い出して2人してちょっと顔を赤らめた...
いつの間にか繋ぎ合っていた手は、そのままお互い離せずにいた...
「来蘭?」
正面を向いたまま、そうちゃんがわたしの名を呼んだ。
「はい」
わたしも正面を向いたまま、返事をした。
「俺、来蘭のことが好きだよ。
もぅ片思いだって構わねーや!」
「...た思いじゃないよ...」
「ん?なんて?」
「片思いじゃないよ!」
「え?」
「わたしもそうちゃんが好き!」
そう言った瞬間、そうちゃんに繋いでた手をぐいっと引かれ、図書室のカーテンの中に引き込まれて、2人の身体はカーテンに包まれた...そしてそうちゃんの唇が、わたしの唇を下からすくうように重なって、2人初めての優しい優しいkissをした...
読み終わったら、ポイントを付けましょう!