一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった

キミと駆け抜けたアオハルDays
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僕の歌姫3

公開日時: 2021年5月30日(日) 23:59
文字数:874

〈優輝side〉

「じゃあまた来週ね、来蘭ちゃん」

そう言って僕は、何事もないフリをして電車を降りた。

背中で、ドアの閉まる音がする。

走り出した電車...

電車が完全に走り去っても、僕はそこから動けなかった。

なんだあれ...

なんなんだ...

僕の腕の中に収まった彼女から、ほんのり香る甘い匂いとか、時々僕を見上げる彼女の瞳とか、僕のブレザーをつかむ仕草とか...

そのままホームのベンチに腰を落とした。

とてもこのまま帰る気にはならなかった。

頭の中では、アイツの

「俺の来蘭」

と言う声がリフレインしてた...

「お前のものじゃない!」

なんて、僕もよく言ったもんだよな。

ベンチに座ったまま、天を仰いで少しだけ笑った...

ねぇ神様...来蘭ちゃんが僕のものにはならないとしても

「僕の歌姫」になってくれないかと願うくらいは許してくれないか...

彼女の笑顔を曇らすようなことはしないと約束するから...


どのくらいホームのベンチに居ただろうか...

何本もの電車が、このホームに入って来ては大勢の人々を降ろしては行き過ぎてった...

僕はただそれをベンチに座って見ていた。

フッと、昼休みに見えた彼女の〈水色のパンツ〉を思い出して、ちょっと笑ったら、手のひらで、スマホが震えた。

彼女からのメッセージだった...

「最後の曲の歌詞を書いてみてもいいかな?」

とあった...

それは昨日浮かんだばかりのメロディーだった...作ろうとして作ったメロディーではなく、フッと降りてきたメロディーだった。

とにかく忘れないように録っておかねばと、あわてて録ったやつだ。

僕はすぐに

「もちろんだよ!」

と返事を送った。

よりによってあの曲かよ...

彼女に出会うために降りてきた曲のような、そんな曲の歌詞を彼女は書いてみたいと言った。

メロディーラインのみのあの曲は、まだなにも他の音は足していない...

あの曲を彼らと一緒に作ってみたらどんな曲に仕上がるだろうか...

彼女があの曲を歌ってくれたなら、きっとすごくいい曲になるだろう、そこだけは確信がある。

文化祭を目標にやってみるか!

僕はやっとベンチから腰を上げた。

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