一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった

キミと駆け抜けたアオハルDays
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保健室2

公開日時: 2021年5月30日(日) 08:08
文字数:1,589

「奏太が来たから大丈夫だな?俺は教室帰るね」

そう言うと陽介が立ち上がった。

「陽介くん、ほんとうにありがとう。」

まだちょっと青白い顔をしながら来蘭が言う。

陽介が保健室を出て行くと、来蘭と俺と2人きりになった。

ふぅーとひと息吐いて視線を落とした先に、ベットに座った来蘭のつま先が床に着いてないのが目に入った。

やばい、かわいい

心の中でつぶやく

来蘭の横に座ってみる。

俺の足はもちろん床に着く。

「来蘭、足着かないの?」

ちょっといじわるに言ってみる

ハッて顔して足元を見る来蘭

その途端に、ぷくーっと膨れた顔をする

たまらず笑う俺の太ももを

「もー!そうちゃんのいじわるー」

って言って叩いてくるその手を掴んで抱き寄せた

「心配させんなよ...」

「ごめん...」

「いや、来蘭悪くない。目を離した俺が悪い。守ってやるって言ったのにダメだな俺」

「......」

「教室見渡して居なかった時点で、トイレに探しに行けば良かった。女子トイレん中までは入れないけど、外で待ってれば良かった。そしたら陽介におんぶなんかさせないで済んだのに」

俺の腕の中で、来蘭がクスっと笑う。

「陽介くんに妬いてるの?」

「そりゃそうだろ!おんぶだぞ?俺だってまだ来蘭をおんぶなんてしたことないのに!」

「おんぶしたいの?」

「したいよ!」

「やだ。させない。」

「なんでだよ!」

「わたし重いから...」

「なに?気にしてるの?」

そう言って来蘭の身体を離し、目を見て言った

「来蘭はかわいいし、魅力的だからね?間違ってもダイエットとかしちゃだめだからね?」

さらに続ける

「来蘭くらいお姫様抱っこするのなんかなんでもないからね?どれだけバレー部で鍛えて来たと思ってんの?」

すると来蘭が笑って

「それさっきも陽介くんが似たような事言ってた」

「陽介が?」

「うん。 わたしがね、おんぶしてもらって連れてきてもらったこと、重たかったでしょ、って謝ったら、バレー部で鍛えた身体甘く見ないで!って言われちゃった」

「陽介のやつ...」


〈来蘭side〉

「陽介くんもバレー部だったんだってね?キャプテンと副キャプテンだったって言ってた」

「そんなことも話したのかあいつ」

「わたしとそうちゃんと陽介くん、〈赤青黄〉で信号機だな、とか言ってた」

思い出してクスっと笑ったわたしの横で、ちょっとそうちゃんは膨れっ面してる

なんだかそんなそうちゃんが愛おしかった。

「そうちゃん...さっきの手...ドキドキしたね...」

ってそうちゃんの手に触れたら、またギュッって抱きしめられた...

「ねぇ来蘭、勘弁して...俺身が持たない...」

そう言うと、抱きしめる腕がさらにギュッっと強くなった。

ゆっくり身体を離し、そうちゃんがわたしの顔を覗き込んで優しく言う

「まだちょっと顔色悪いな...少し横になりな来蘭。この後のオリエンテーションは大した内容じゃないから、昼休みまで寝てな。迎えにきてやるから」

そう言うと、ベットに寝かされた。

横になったわたしの髪をそっと撫でて、そうちゃんは教室に戻って行った。

少し眠ろう...


頬を優しく撫でる手の感触で目を覚ました。

その手はそうちゃんだった。

「起きた?」

あんまり優しい声で言うから、もうちょっとその声が聞きたくて、もいちど目をつぶって

「起きれない」

ちょっと甘えてみる...

「そゆこと言うとチュウするよ?」

とか言うから、慌てて目を開けた。

「なにそんなに慌てて目開けてるんだよー」

ってちょっと拗ねてるそうちゃん

「だって...」

「そんなに簡単にするわけないだろ」

って軽くデコピン

「いたっ」

「来蘭のファーストキス、大事にするに決まってんだろ」

なんて言うから、恥ずかしくって布団を顔の半分まで引き上げた。

「さぁほら、起きて!お昼食べれる?鞄覗いたらお弁当が見えたから持ってきたよ。中庭で食べようか」

ねぇ、どこまで優しいの?そうちゃん...

わたしの方こそ身が持たないよ...




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