〈来蘭side〉
そうちゃんと、思いがけずに陽介くんも、一緒に軽音楽部に入ることになった!
「来蘭ちゃんはベース調達しないとなぁ、もちろんまだ持ってないだろ?ん?」
なんかもう廣瀬先輩はほんとにお兄ちゃんみたいだ。
「持ってないです。でも、貯めてあるおこずかいで買おうと思ってます!」
「お!そうか!予算はいくらだ?それによって買えるベースが違ってくるからな」
「15万くらいです...足りますか?」
「おお!それだけありゃ、いいベースが買えるよ!」
15万かー、やっぱり最初はフェンダーのジャズベ
かなー、来蘭の手小さそうだから、ネックが細めのがいいかなーと思うんだよなー、でもなー俺はフェンダーあんまり好きじゃないんだよなぁ...
あ!GibsonのSGベースなら、ショートスケールだしいいかもしれないな...
でっかい声でひとりごとを言っている...
そうちゃんはドラムの菊池先輩に、陽介くんはギターの菊池先輩の側に言っていろいろ教えてもらってる。
ぼーっとしてたら、急に後ろにガタっと椅子が動く音がして吉井先輩がわたしの真後ろに座り、振り返ろうとした瞬間にウエストを抱かれてグイッと後ろに持って行かれ、長い足を開いた所にストンと座らされた。そしてわたしの右肩に顎を乗せて
「つまんないねー、来蘭ちゃーん、ジュース買いに行こっかー」
とか言う...
真っ赤になってるわたしに
「かーわーいーいー」
と言ってから腕を外し、わたしを立たせて、自分もすくっと立ち上がると
「ジュース代は来蘭ちゃんが出してね?」
とクズっぽく笑った...
なんかとても先が思いやられる...
吉井先輩に手を引かれて自販機まで来た...
「俺ねーこのカフェオレー」
と言ってまだコインを入れてない自販機のボタンを押してる...
「はいはい、これですね?」
500円玉を入れた。
ストンと落ちてきたカフェオレを取り出すと
「来蘭ちゃんはこれ?」
とか言って、今にも押しそうな指の先にはわたしが嫌いな野菜ジュース!
「ちがーう!!」
吉井先輩はしゃがみこんで腹を抱えて笑ってる...
そんな先輩にあきれた視線向けながら、大好きな〈いちごみるく〉のボタンを押した。
「ねぇ先輩?5人にも買っていこうと思うんだけど、なにがいいですかね?」
すくっと立ってわたしの後ろに立つ吉井先輩
そうちゃんと同じくらいに背が高い吉井先輩が、頭の上で言う
「優しいね、来蘭ちゃん」
この人は絶対誰にでもこうゆうこと言って、計らずも女の子を落としてしまうんだろうな...と思った...
喧嘩になってもよくないから、カフェオレを5個買った。当然のように吉井先輩は持ってくれるわけもなく、5個のカフェオレとわたしのいちごみるくを抱えて、部室へと向かった。
辛うじて重い防音扉は開けてくれた...
中に入ると、先輩達とそうちゃんと陽介くんが待っていた。
「来蘭!」
いっぱい飲み物を抱えたわたしにそうちゃんが駆け寄ってくる。
「みんなの買ってきたよ!」
と言ってる間もなく、そうちゃんはわたしの腕から飲み物を受け取り
「吉井先輩持ってくれなかったの?」
と怒ってる
「ちょっと吉井先輩ー、持ってやってくださいよー、来蘭女の子なんですからね!」
と詰め寄ってる。
すると先輩たちが
「あー、吉井にそうゆうの求めてもムリムリ」
「女にちやほやされるのが普通だと思ってるから」
などと口々に言う。
確かにそうだろうなぁと、妙に納得した。
「来蘭ちゃん、ちょっと俺のベース持ってみろ」
廣瀬先輩のベースのを持たせられるわたし
うわぁー、思ったより重いんだなーと、ちょっとよろける...
「重たいか?」
「ち、ちょっと重いです...」
「そうだろな」
と笑ってる。
「やっぱりGibsonのSGベースだと思うなー!よし!今度の日曜日空いてるか?知り合いの楽器屋に連れてってやるよ!」
「ほんとですか?ありがとうございます!日曜日大丈夫です!お願いします!」
すると廣瀬先輩は、ズボンのポケットに手を突っ込んで
「どーせ吉井、来蘭ちゃんにジュース代出させたろ?」
と言ってポケットにあった小銭をジャラジャラとわたしの手に置いた。
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