高校生活2日目。
バス、電車を乗り継ぎ1時間半。学校のある駅に着いた。満員電車から、やっとの思いで降りる。
これから毎日、こうして通わないといけないんだから慣れなきゃな...大きく息を吐くと、人の波に流されながら改札口へ向かった。すると改札口の向こう側にそうちゃんの姿が
「そうちゃん!」
「来蘭!大丈夫か?まだ朝の満員電車通学慣れてないだろうし、身体あんまり強くないみたいだから心配になってさ、迎えに来たんだ」
「......」
「ん?どうした来蘭」
なんか泣きそうになって下を向いて、そうちゃんのブレザーの裾を握った。
するとそうちゃんは高身長の身を屈めてわたしの顔を覗き込んでくる
「うぅ...ありがと、そうちゃん...」
「かわいいな、来蘭」
ポンポンってわたしの頭を優しく叩きながら、ごく自然に口からこぼれたようにそうちゃんが言うから
逆にわたしはそうちゃんの顔を覗き込んで言う
「そうちゃん?ちゃんと目見えてる?」
「見えてるよ?なんで?」
「かわいいわけがないでしょ?わたしが」
「来蘭はかわいいよ、間違いなくかわいい」
なんかものすごく嬉しそうに言うから、それ以上なにも言えなくなっちゃった。でも、ちょっと...いや、すごく嬉しかった。
〈奏太side〉
なんかもう5時前からパッチリ目が覚めてしまった...俺はジジイか!!
なんか悶々するから、海岸走ってくるかー
昨日、来蘭といろんな話しをしたテトラポットが目に入ってくる。
あのテトラポット、〈俺と来蘭の大切な場所〉になったな...
早く来蘭に会いたい。
あいつ身体はもう大丈夫なのかな...
満員電車に長い時間乗って来るんだろ?
大丈夫なのかよ
そんなこと考え始めたら、もう居ても経ってもいられなくなってきた。
駅まで迎えに行こう!!
まだかな...大丈夫かな...
あ!!来蘭来た!!
やっぱりちょっとぐったりしてるな...大丈夫か?
駅まで迎えに来て良かった。
身体が心配で迎えに来た事を伝えると、来蘭はうつむいてしまった...どうした?
ん?俺のブレザー掴んでる
朝イチからこれかよー
もー俺、身が持たないよー
「かわいいな、来蘭」
息をするより自然に口から出ていた。
すると来蘭は、かわいいわけないとか言ってる。
自分のことかわいいって自覚がないのかよ!!
これからの学校生活、先が思いやられるよ...
他の奴らが来蘭の可愛さに気がつき始める前になんとかしないと!
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