〈紫音side〉
咲...これで良かったかな?
いや、きっと「バカじゃないの?!」とか言ってんだろな...
なぁ咲...あいつらに、俺たちが見れなかった未来を見せてもらおうじゃないか...辿り着けなかった場所へ連れて行ってもらおうじゃないか...
大丈夫、あの『そうちゃん』なら、俺みたいな間違いはしないよ...
コンコン...
来蘭の病室をノック
どうぞ...
来蘭の返事にドアを開ける
ベットで布団を深く被り、目だけを出してる来蘭に
「もう不意打ちでkissしたりしないよ...」
と言うと、そぉっと布団から顔を出した。
俺はベットの横に腰を降ろし
「少し俺の昔話をしてもいいかな?」
そう切り出すと、来蘭は頷いた。
来蘭は、俺と咲との話しを、静かに涙を流しながら聞いていた。
「その咲がな、さっきうたた寝していた時に夢に出てきたんだよ」
「咲さんが?」
「お前が無理して笑ってること気が付いてるんでしょう?って言われたよ...私の二の舞にしたらダメよって伝えに来たんだろうな」
その言葉に来蘭は、わっと声を出して泣き出した。
「いいよ来蘭、泣いていい。怒っていい。感情に蓋をしなくていい。
いや、最初に『泣いたって手は動くようにはならないぞ!甘えるな』なんて言ったのは俺か...」
泣いてた来蘭は、笑い出して
「そうだよ!先生がそう言ったんじゃん」
と、へなちょこパンチを俺に入れてきた。
「なんだそのパンチ、だっせー」
「うるさいなー」
コロコロと笑う来蘭に
「『そうちゃん』にも、そうやってちゃんと本当の気持ちを怖がらずにぶつけろ来蘭...あいつなら大丈夫だよ」
コンコン...
病室をノックする音に、俺は椅子から立ち上がった。
「じゃあまた明日な、来蘭」
入れ替わりに『そうちゃん』が入って来た。
わっかりやすく俺を睨みつけてから来蘭の側に寄る後ろ姿を見届けてから病室を出た。
「感情に蓋をするな」...か...
てめぇの感情に蓋しといて俺もよく言うよなぁ...
まぁでも、アイツがもし来蘭を泣かすようなことがあれば、その時は俺が来蘭を奪うけどな!
なぁ咲...相手の幸せだけを思ってただ見守るっていうのも、ひとつの愛し方だろ?
大丈夫だよ、俺はまた人を好きになることが出来たから...いつか俺が逝く日まで、心配しないでそっちで待ってろよ...
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