〈来蘭side〉
時間内にすべての委員が決まり、休憩時間になったのでトイレに向かった。
いやいや、そうちゃん!聞いてないから!!学級委員長と副委員長だなんて...
でもやっぱり元キャプテンだけあるなー
すごいテキパキ進行しててかっこよかったな。
それより...手を洗いながらさっきのシーンが蘇る
教壇の下で繋いだ手...
昨日もそうちゃんとは手を繋いだけれど、みんなからは見えない教壇の下で繋いだ手は、昨日よりもドキドキした。
すると、後ろの方でひそひそと話す声が聞こえてきた。鏡に映る彼女たちを、手を洗っているフリをしてチラッと見た。
「ほらあの子だよ、奏太と妙に仲良くしてる子...奏太追いかけてこの高校に入った綾の気にもなれっつーの!」
綾と呼ばれた子が、鏡越しにわたしをにらんでいた...
心臓がドキドキと音をたて、呼吸が乱れ出し、冷や汗が流れ出す...
早くここから逃げなきゃ...
ふらつく足でトイレから逃げ出す。
トイレから出たところで、見覚えのある顔が目に入る
「来蘭ちゃん?」
それは昨日、そうちゃんの所に来て、仲良さそうにしていた陽介くんだった。
「ち、ちょっと大丈夫?真っ青な顔してるじゃん」
陽介くんが肩に手を置き、顔を覗き込む
そこにさっきトイレ内でひそひそ話していた女子グループがトイレから出てきた。
「うわぁ、あの子ビッチじゃん」
「奏太以外の男子にもあんなことされてるよ」
蘇るいじめの記憶...
目眩がして、身体に力が入らなくなって両膝を床に着いた。
「来蘭ちゃん大丈夫?おい!お前ら!!なんだよビッチって!ふざけんなよ!」
陽介くんが頭の上で怒鳴った。
両手両膝を着いていたわたしの前に、陽介くんが背を向けてしゃがんだ
「乗って、来蘭ちゃん!保健室行こう」
「えっ?いや、わたし重いから無理だよ...」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ?それに、来蘭ちゃんくらい重くもなんともないから!」
そう言う陽介くんに、強引におんぶされて保健室へ連れてかれた。
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