「え、いや、お父さんがいらっしゃるんじゃ...わたし心の準備が出来てない...」
「親父は居ないから大丈夫だよ。
先週から親父、ハワイに買い付けという名のサーフトリップ行ってるから。
サーフショップやってるって話したろ?そのショップで、ハワイアン雑貨なんかも扱ってて、その買い付けに定期的にハワイに行くんだよ。あっちに別荘もあるし、波乗りも出来るしね。そのうち向こうにに永住するとか言い出すんじゃないかなってくらい、最近じゃあっちばっかりだよ」
「じゃあそうちゃん、ここに1人で...?」
わたしの表情を見て、そうちゃんが笑う
「大丈夫、寂しくないよ」
「ほんと?」
「ほんとだよ。
うちは、それぞれが自分のやりたいことをやりたいようにやって生きてるから、これが普通なんだよ」
そう言ってわたしの頭をくしゃくしゃっとして
「ほら、上がって来蘭」
通されたリビングには、ハワイアンな雰囲気の家具や雑貨がセンス良く配置されていて、大きな窓からは海が一望出来、天井は吹き抜けになっていて、シーリングファンが天井でクルクルと優雅に回っていた。
「わあ...素敵...」
思わず言葉が溢れた。
「気に入りましたか?来蘭姫?」
「姫?なに?姫ってー」
そんなこと初めて言われて、クスクスと笑った。
「やっと笑った...」
そうちゃんはわたしに、背負っていたベースを降ろさせると、ソファに座らせ、キッチンに飲み物を取りに行った。
わたしはソファに座って、窓の外に広がる海を見ていた。
「アイスティーで良かった?」
「ん、ありがと」
トロピカルな香りがするアイスティーを、ゆっくりひと口飲んだ。
もう一口飲もうとしたら、上からグラスをスっと奪われ、そのグラスをテーブルに置くそうちゃん...わたしの足元に膝を着き、両足の間に身体を入れて来て、後頭部に手が置かれるのと同時にそうちゃんは唇を重ねて来た...
もっと...
もっとわたしを奪って...
何度も何度もわたしたちは唇を重ねた...
大人のkissへスイッチが入るには時間はかからなかった...そうちゃんの舌と私の舌が絡み合って、ひとつに溶け合うようだった...
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