大学生活はもう2年目を迎え、1人暮らしにもだいぶ慣れてきた。
彼女もできて、サークル活動やバイトも順調。
唯一の心残りは、卒業後にどうするかって話。
将来別にしたいこととかもないし、仕事なんて正直何でもいい。
自分のやりたいことを探すために大学に入った。
“何かが見つかるかな”と思ってた。
でも、時間が通り過ぎるのはあっという間で、気がつけばもう2年目。
…はあ
このまま大人になって、気がつけばお爺ちゃんにでもなってんのかな…
幸先が思いやられるよ…
とほほ…
ピンポーン
アパートのインターホンが鳴った。
鳴ることなんて滅多にないのに、誰だ?
大体今夜なんだけど、宅配とかじゃないよな…?
バイトが終わって、シャワーを浴びようとしている頃だった。
電子レンジにパスタを入れて、テレビには電源を。
インターホンのモニターを見ると、誰も映っていない。
イタズラか…?
そう思い、玄関のドアを開けた。
出ないのも一つの手だったが、そのままにしておくのも気持ち悪いと思って。
「じゃじゃーーーん!」
俺は最初、突如聞こえてきたその「声」に、卒倒しそうになった。
周りは暗い。
だってもう21時だし。
俺が住んでるアパートは二階建てで、周りは市街地から離れた住宅地だ。
大通りの方では車が往来する音が聞こえた。
それ以外は、静かな場所だった。
「うわッ!!!」
不意を突かれたっていうレベルじゃなかった。
開けた瞬間は、誰もいなかったんだ。
ドアの前の通路にも、周りの駐車場にも。
(おかしいな…)
そう思いつつ、ドアを閉めようとした。
そしたら、ドア越しに突然顔が現れた。
ジャンプするようにピョンッと飛んできて、俺は勢いよく尻餅をついた。
「あはは。相変わらず期待通りの反応するね、クースケは」
後ろで結んだポニーテールが跳ねる。
奇抜なピンクの髪が、サラッと流れるように視界の中に弾んだ。
レディースの白いシャツの下には、はち切れんばかりのバストが。
すらっと伸びた長い足。
光沢感のあるヒールに、イタズラっぽい瞳。
それが「誰」かを、俺は知らないはずがなかった。
見た瞬間に誰かがわかった。
現れた理由も、どうしてそんな髪色になっているのかも、わからないまま。
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