「単刀直入に言わせてもらいます。ほんっっっとうに!ごめんない!!!」
私は嬉々さんのお店で改めて真城さんに謝る。
「あのさ、あのとき言った言葉は買い言葉に売り言葉だったとしても本心だったわけでしょ」
「それを言うなら売り言葉に買い言葉……」
「そ、そこはどっちでも良い!言いたいのはそこじゃなくて……本心を知ってるのに、わざわざ取り繕うのってどうかと思うんだよ」
真城さんの言葉を聞き、少し考え答える。
「うん……確かに、本心をあんな形とはいえ伝えてるわけだし。え、もしかして今から本心で文句言い合うの?別に私は……」
「あんなふうに責めたくないし、誤りたいだけ」。そう言おうとしたら、真城さんは遮る。
「うん。私もあのときは言い過ぎたと思ってるし、私だって謝りたい。
でも、嬉々さんに聞いたんだけど私の魂の形……【機械《Machine》】は変身時間が長引くほど負の感情が大きくなるらしくて、またあんなふうになってしまうかもしれないの」
「リミッター外してるのもあるし」と付け足して真城さんは一息つく。
(そうだったんだ……。真城さんの嫉妬心が変身して大きくなって、あんなふうになってたのか)
そこで一つ疑問が湧く。
「じゃあ、解決策は……?」
「うん、実は何も思いつかなくて。私アホだし」
「思いついてないんかいっ!」
ついつい素のテンションで突っ込んでしまう。……ん?素で?
「そうじゃん!普段からその時みたいに思った酷いこと言い合えばいいんじゃん!」
「待ってそれメンタル死なない?それにそこまで仲良くないし……」
「んー」
私は顎に手を当てたあと、「でも」と言い。
「仲が良くないからこそ、言い合える関係って良くない?」
「……」
真城さんはきょとんとして、うーんと考えると。
「いや騙されないよ!?」
「ちぇー。いいと思うんだけどなぁー」
私がそう言うと真城さんは難しい顔をしながら頭を抱え、ため息をついた後にこう言った。
「……わかった、それで良いよ。でもいくつか条件は欲しい」
「どんな条件なの?」
「まず第一に学校の奴がいるところでは話しかけないで」
「な、なんで……?」
「いや、私みたいな奴と関わっても互いに良いことないし」
「……わかった」
私は納得はいかなかったけど、今日真城さんに迷惑をかけたことを思い出して仕方なく了解した。
「そして次にどんなことを言っても謝らない。言い合う関係なら謝る時間なんて無駄でしょ」
「うん、わかった」
罪悪感が無いわけでもないけど、そういう関係になろうとしているんだから了承するしかない。
「最後に」
「うん」
真城さんは真剣な顔でこちらを見ながら、その言葉を放つ。
「何があっても自分の事を最優先に考えて行動して」
「んん……?」
私はわけが分からずそんな素っ頓狂な声を出してしまった。
「私達は友達でもないし、逆にいがみ合う関係になるんでしょ?なら中途半端な優しさなんか捨てて欲しい。
それに、変身したら強くなるけどそれでも戦闘は初心者。ただの学生なわけだし。いつ死んでもおかしくないんだから、自分のことを優先してほしいし、私もそうしたい」
真城さんはいつも休み時間の時に見せる遠い目をしている。馬鹿を見ているときのような、自分のほうが上と思っているような目。
多分だけど、真城さんはそんなことを言って私のことを優先するんだろう。ホントに短い付き合いだけどわかる。あの時の本心を聞いて、そしてぶつかった今ならわかる。
「……わかった。じゃあ私はこれから学校で貴方に話しかけないし謝りもしない。そして自分のことを何よりも優先して動くようにするよ」
止めても無駄。それもわかるから私は自分のこと……自分がしたいことを優先させてもらう。
(いつか真城さんを守って死んでやる。そして死ぬ間際に怨嗟を込めて遺言残してやる)
このときから私と真城さんはどこか歪んだ友情(?)が出来つつあった。
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次回へ続く
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