「壊れた公園どうしよう……」
私が無心で火鬼を蹴り飛ばしたりしたから、公園のベンチやポールがめちゃくちゃになっていた。
「こっからは私の仕事。えいっ」
夢々さんがそう言い壊れたベンチに手を当てると、徐々に元の形へと戻っていく。
「夢々さん凄いです!嬉々さんのミラーブレスの時も思いましたけど、鬼ってやっぱり人間じゃないんだなぁ」
「そうだね、私は復鬼《ふっき》と言って、色々な物を直す力を持ってる鬼なんだ。清華の手術にもこの力は使ってたんだよ?出血量やばくてさ」
「わ、私改めて夢々さんに手術してもらえて良かったって思いました……」
もし夢々さんじゃなければ……ううん、考えるのはやめよう。
「あ、私は直しとくからさ、ほら」
「あ……はい」
夢々さんは店のテーブルに座る柚来さんを指差す。私は言われたままにそっちへ向かった。
「……あのさ、柚来さん」
声で私に気付いたのか、少しビクッとしてその後また優しい表情をする柚来さん。
「何?真城さん」
「私達は正反対で意見も行動もバラバラでしょ?だから……」
「そのことなんだけど!」
私がどうすれば二人で戦えるかを考え、それを言おうとしたが柚来さんに遮られた。
「やっぱり、私は変身しないほうが良いと思うの。さっきみたいに真城さんの足を引っ張るかもだし、それに真城さんにもうあんなこと言いたくない」
柚来さんはそう言いながら私にミラーブレスを差し出してきた。
「いらない。私だって柚来さんを傷つけてしまったのが嫌でやめたいぐらいなんだよ?酷いこと言ったし、柚来さんの邪魔だってしてしまった」
私はミラーブレスを押し返す。
「真城さんのほうが強いし、それに守りたいものがあるんでしょ?」
「柚来さんだって守りたいって言ってたじゃん。それに、それ戦いたくないだけだよね。自分のことしか考えてないとか言ってたけど、柚来さんもじゃん」
「怖いに決まってるでしょ!だって現実であんな奴に負けたら私達、死ぬんだよ!?」
「……」
涙を流しながらそう叫ぶ柚来さんに、私は何も言い返せず固まってしまう。
「二人共、戦うことは義務じゃない。それに、私達がなんとかすることだって出来るんだから無理に変身しなくてもいいよ。
実際、私は自己防衛程度に渡したつもりだったし。それで狙われちゃったことに関してはホントにごめん」
屋台から出てきた嬉々さんが私達に優しくそう言ってくれた。
「そんな!私達のことを思ってそうしてくれたんですよね?」
「そうです!逆に無理言って変身出来るようにさせてしまったこと謝らせてください!」
「二人共……」
嬉々さんもまた涙を浮かべる。私も浮かべていたのだろうか、少し頬が温かい。
嬉々さんがまた何か言おうとしたとき、後ろから手が伸びてきて、私達のミラーブレスが掴まれる。
「「あっ……!」」
「……戦ってくれるのはありがたいけど、これは没収。貴女たち二人が心配だし、そもそもそんな状態で変身しても死ぬだけだよ」
いつもより無表情になっている夢々さんが両手にミラーブレスを持って言う。少し怒っているようにも、悲しんでいるようにも見えた。
「今日はもう帰りな、二人共。嬉々!もう店閉めよう」
「わ、わかった!片付けてくるー!」
「「……」」
仲直りしたけど、また喧嘩。しかも魔法少女も辞めちゃった。
もう巻き込まれないと思うとホッとするけど、同時に嬉々さんと夢々さんに何か起こったとき……。それに、別に柚希さんのことが嫌いというわけではないし、仲直りだってしたい。
この先、どうなるんだろ…。
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次回へ続く
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