「ぬ……なんじゃこの光は。妙なことをしおって……まぁよい、この炎をくらえっ!」
さっきとは比べ物にならない程熱く、大きな炎じゃ!ひとたまりも無いじゃろう!
「はぁっ!」
なっ!二人……いや、男に当たる前にあの女が止めおったのか!?
「お主……何者じゃ」
「私は柚来《ゆずき》 祝《はふり》。ただの中学生だよ!」
「って!何これ!」
私は気がついたら黒色のとんがり帽子と黒色のローブを着ていた。
「適合したか……魔法少女《メートヒェン》として」
「え?」
魔法少女《メートヒェン》?どっちかって言うと魔女では……?
というか、地獄がどうとか言ってるのにドイツ語だし……。
「いいか、お前のタイプは奇術師《マジシャン》だ。腕に付いてるそいつにゲージがあるだろ?そのゲージを消費して色んな魔法を使えるはずだ」
「な、なるほど……」
理解はできても行動できるか……。
「メートヒェン?なんじゃそれは……。妾たちが封印されておる間に妙なものを作りおって。
しかし、まだ強さがわからぬ以上は直接戦うべきでもない……。
欲望のままに喰らい尽くせ!『小鬼』よ!」
あの鬼がそう言うと、彼女の手のひらの炎が鬼のような形になり、やがて実態を持つ赤い鬼となった。
「精々力を見せてみるんじゃない」
「チッ、逃げられたか。取り敢えず、お前はコイツを倒せ」
「た、倒せって言われても……」
「肉弾戦でも魔法でも何でもいいからさっさとしろ!」
「え、えぇ……!?」
ど、どうすれば……。って、来てるし!
「うわぁ!」
……え。
私は軽く横に避けようとしただけなのに、想像より数メートル先まで来ていた。
「なんか、できる気がしてきたかも!」
「ほっ!とぉ!!」
相手のパンチをジャンプして避けて、顎にサマーソルトキック。
「何回繰り返したら倒れるの、コイツ……」
脳は揺れてるはずなのに、全然ピンピンしてるし……。いや、蹴ったところは少し傷ついてるけど。
「お前は奇術師なんだから、魔法を使えよ」
「あ、そっか」
えっと……コイツは炎から生まれてたから……?
「地獄の冷気よ!かの者を凍てつくせ!」
『氷結《Frozen》』
「グォォォ!!」
そう言うと、私の手からブレスのようなものが飛び、相手の体を足から凍らしていく。
「よし、効果バツグンってやつだね!」
そうこうしてる間に、全身が凍っていた。
「……これどうするの?」
「テキトーに蹴ってみれば良いんじゃないか?」
「テキトーだね……えいっ」
バリィィン!!
「あ、普通に壊れた」
小鬼と呼ばれたソイツは、軽く蹴ったら氷の欠片となり、地面に落ちるよりも早くに霧散していった。
「あっ」
霧散したのを確認した瞬間、私の変身が解けた。どういう仕組みなんだろ……気になる!
「ねぇねぇ、これって結局なんなの?ねぇ教えて!」
「うるさいな……俺は説明するのほ嫌いだ。聞くならアイツらに聞け」
「あ、アイツら?」
そう聞くと、男は地面を指差す。
「えっと……地下?」
「いや、地獄」
……どうなっちゃうのぉぉぉ!!!??
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次回へ続く
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