「くっ、ミラーブレスを……!」
「まぁ待つのじゃ。流石にお主の力が強いことは知っとる。今戦ってもまだ不完全な妾では負ける確率が1割といったところ……。
もし妾に襲いかかればやられるまでここら一帯の生物を根絶やしにするからの」
「くっ……!」
この鬼、鬼塚市の住民を人質に……。
「あ、この匂いはたこ焼き……。まぁ今日はコロッケの気分だけど」
今日も今日とて私は嬉々さんの屋台へと足を運ぶ。
「……ん?あれは……鬼じゃん!」
何であのときの鬼が椅子に座ってんのさ!
「おや、お主は妾が見逃した奴か」
「真城さん!危ないから遠くに……!」
「危ない……?」
その言葉に私は少し苛立ちを覚えてしまった。
「大事な嬉々さんの屋台、私がいつも通ってる屋台。それに危害を加える奴はどんな人でも許さない。
それに、柚来さん。私だってミラーブレスを持ってる。遠くに行くのは柚来さんのほうだよ。早く逃げて」
少し刺々しい言い方をしてしまった。そう後悔しても、この気持ちは抑えられない。
「あ、う、えと……ご、ごめんなさい……」
「……?」
てっきり柚来さんは引かないと思っていたけど、キョドりながら謝った……?いつもとイメージが違う……。
「ふむ、あれがもう一人おったのか。まぁもとよりたこ焼きだけもらって帰るつもりでおった。ほら、まだか」
「はいはい、もう少しで出来ますよーだ!」
何が何だかわからないけど、取り敢えずミラーブレスだけは装着しておこう。
『装着』
「はい、お待ちどうさん!」
「ではいただくとするか。はむっ」
鬼はたこ焼きを口に入れる。
「ふむ、美味いな。壊れてしまうのが少し残念に思うぞ」
「ははは、なら平和に世界征服しましょうよ」
「ひゃひゃ、妾達は世界征服するぐらいなら壊したいと思うのを知っておろうに。
折角じゃし、お主らに妾の自己紹介をしてやろうではないか。
妾は炎鬼《えんき》の炎禍《ほのか》。妾達の目的は世界の滅亡。理由は一人ひとり違うが……妾の場合はただただこの破壊衝動に身を任せておるだけじゃ」
「一人ひとり……妾達……他にも仲間がいるの?」
「おう、四人ほどおるわ。さて、ここまで情報も話してやったし……火鬼よ、あやつらを倒せ!
そう言うと、炎禍の手から炎が舞い上がり、やがて大男サイズの鬼が二人出来上がった。
「まぁ倒せはしないと思うが、もう一人の実力を見るのには使えるじゃろう」
そういうと炎禍は消えた。
「これが私のデビュー戦!余裕で勝ってやる……!」
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次回へ続く
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