「えっと……たしか……変身!」
シーン……。
「何も……起こらない……?故障?」
どういうこと……?叩いたら直るかな。
柚木さんは迫る敵を警戒しつつ、私達に向かって叫ぶ。
「い、一回私が試してみます!ミラーブレス!」
『装着』
柚来さんは装着した後、仮面ライダー2号のようなポーズを取り、高らかに叫ぶ。
「地獄の名の下に!我が魂の真の姿を映せ!」
『奇術師《Magician》!』
柚木さんの声に続いてミラーブレスが輝く。その光は柚木さんを包み込み、やがて柚木さんは魔女の姿となる。
「おぉ……!かっこいい!」
「そ、そうかなぁ?褒められたらちょっと照れるよ」
結局柚来さんが戦ってしまってるけどそんなことより見た目のかっこよさに惹かれてしまった。
「よし、今度こそ私も……!」
柚来さんに戦わせる訳にはいかない。ここは私の大事な場所だから!
「地獄の名の下に!我が魂の真の姿を映せ!」
シーン……。
「もしかして……なぁ嬉々。あれって……」
「うん、お姉ちゃんの思ってるとおりだと思う。多分清華ちゃんは……
ミラーブレスの適合者では無かったんだ。」
「私が……適合者じゃない……!?」
ということは、変身できないってこと!?
「いや、適合できない人間は限りなくゼロに近いはずなんだけど……」
顎に手を当てて嬉々さんは悩む。その後、なにか思いついたのか私の方をじっと見つめてきた。
「ねえ清華ちゃん。もしかして人間じゃなかったりする?」
「いやどっからどう見ても人間ですよ!?」
何を言い出すんだこの人は!私のどこが人間じゃなく見えるっていうんだ!!
「と、というか私は変身できないんですか!!」
「うーん……変身解除したあとに3分ぐらい動けなるような仕組みに改造すれば変身は出来るけど……」
「それでもいいので変身させてください!私はここを自分の手で守りたいんです!あんな出会ったばかりの、偶々巻き込まれただけの人なんかじゃなくて!」
私はついカッとなって柚来さんを悪く言ってしまった。柚希さんは今火鬼の二人をギリギリで相手をしているが、どうやらそれは聞こえていたらしく、少し悲しそうな顔をしていた。
しまったと思ったのは私だけじゃなかったらしく、嬉々さんはすぐに話を進めた。
「わ、わかったよ!ここのリミッターを外せば……ほら、これで変身できるから!それと、さっきも言ったけど変身解除したあと動けなくなるから!」
「わかりました!
地獄の名の下に!我が魂の真の姿を映せ!」
『機械《Maschine》』
先程とは違い、私のミラーブレスが反応して私を光で覆う。
そして光が消え、私の今の見た目が見えた。機械仕掛けのボディアーマー、機械でできたグローブ。そして背中には水色で機械的な翼。目にもまた機械的なものが装着されている。
「こ、これが私……。なんだか力もやる気も出てくるよ!」
私は早速その力を確かめるために先程柚来さんが吹き飛ばした火鬼に向かって走る。いや、明確には走ろうと一歩を踏み出しただけでその場へと飛んだ。
「速っ!!えっと……取り敢えず真城パーンチ!!」
勢いに任せてパンチをする。その威力は凄まじく、大男と同じサイズなはずの火鬼が50メートル近く吹き飛ばされる。
「凄い……!」
柚来さんは私ほどの力は無いらしいがその分術が使えるようになっている。私の心の奥底は筋肉に極振りしたような考えなしなのかもしれないなぁ。
「ま、どうでもいいや。叩きのめすだけだし。柚希さんなんかに任せるぐらいなら二人とも私が倒せばいいよね、柚希さん今手こずってるっぽいし……横取りしても文句は無いだろうなぁ」
私は無心で柚希さんの方へ飛び、火鬼をもう一人いる方へと蹴り飛ばす。
「あ、ありがとう……」
柚来はそう言って腰を抜かしたかのようにその場で崩れる。
「ふん」
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次回へ続く
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