「ね、ねぇ地獄って……死ねってこと!?」
「さっきからうるさいな……黙ってついてこい」
「そう言われても……」
地獄から来たという男性に連れられて、地獄へと向かっている私。
(さっきから変なところで曲がったり、地理的に考えたらUターンしてるときもあるし……)
もしかして、パターンで迷い込む感じなのかな?
「着いたぞ」
「え?」
そう言われて前を見ても、川しかない。……川?こんなところにあったっけ。
「おや、白《シロ》坊じゃないか!元気にしてたかい?」
声がした方を見てみると、ギザ歯で白色の長髪をたなびかせた美人なお姉さんがいた。
「はいはい、元気だよ奪衣」
奪衣……ってことは奪衣婆!?
「私、初七日迎えてないし六文銭も持ってないよ!?」
「結構物知りだな……安心しろ、あくまでお前は死んでここに来たわけじゃねぇ。俺たち地獄の者が知ってる抜け道を経由してきただけだ」
「なるほど……」
ってことは、抜け道以外の手段で行こうとしたらやっぱり取られるのかな。
「で、何だコイツは。まさか、黄《きぃ》坊の発明品を使って適合した人間なのか?」
「チッ……そうだよ」
「ふむ。なら、急いで十王のところへ連れて行かないとな」
私はわけがわからないまま船に乗せられ、川の向こう岸に着いた。
「歩きじゃ時間がかかるし……アイツを頼るしか無いんだよな」
白坊と呼ばれたこの人は徐ろにスマホみたいなものを取り出す。
(地獄にもスマホあるんだ……!!)
「……ん?」
なんか上から飛行機みたいな音が……っ!?
「なんですかあれ!!こっちに向かってきますよ!」
ゾウぐらいの大きさの鳥が勢いよく飛んでくる音だった!飛んでくるというか、最早突進だよこれ!
あれ?鳥の上に誰かが……黄色い髪の女性が……。
「ヤッホーシロりん!そして奇術師のお嬢さん!私は黄々!機器が大好きな機鬼だよ!」
「なんか私が知らないこと教えてくれそうっ!」
「へー!機鬼の特性を活かして電波を……!」
「そ!使い道は少ないけど、こうやって私に幼児がある人は素早く回収できるのさ!……お!私の研究所が見えてきたよ!」
「サイズは普通の家ぐらいなんですね」
例えるならアン○ンマンのパン工場みたいな感じ。
「ふふーん。ま、入ってみてよ」
「……?」
鳥さんに優しく降ろしてもらったあと、何故か私が先頭で研究所へ入っていく。
「おじゃましまーす」
「ゆ、柚来さん!?」
「……へ?」
そこには、クラスメイトの真城さんがいました。
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