なるほど。やはりあの女神は狂気に満ちている。
「そうか」
「今の自分が置かれている立場が分かったら、せいぜい頑張ることね」
コイツの口調、発言こそ棘があるがその中に温かみも感じる不思議なやつだ。
「そうか、最後にお前の名前を教えてくれ!」
「――? ララだと名乗ったはずだが?」
「違う。その後だ。ダスティフォリアじゃないお前自身だ!」
すると、その女はもう一度ゆっくりと足を組み直す。
「――私はララ。『ララ・クリザイアル・ナラスラーバ』だ。貴様とはまた会うだろう」
そう言い残し彼女……いや、ナラスバーラは岩のベンチに別れを告げ、ローフィー家のドアを静かに開けた。
「ナラスラーバ……」
あの別人格が本来のララなのか?
最大の協力者であり、最大の敵でもある。か。
しかし、今はあいつの強力に感謝するのが道理だろう。
今日、ここでナラスラーバに会わなければ、俺はララが死に行く運命に気づかず、大した覚悟も無い心で『勇者になる』などと、ほざいていたはずだ。
俺は誰もいなくなって決まりが悪いベンチに腰掛け、ナラスラーバに対する小さな感謝を胸に秘めて、流れる星を延々と眺めていた。
ーー「あーーさむっっ! 戻るか」
数十分は星を眺めていただろうか。
体の芯から温度が奪われたのが、逆立つ毛と鳥の皮の様にブツブツ浮き出てくる右手を見て理解した。
―― 一時間ほどの夜遊びを楽しんだ俺は、砂雪舞い散る部屋に戻った。
「お、遅かったですね。トイレ行ってる最中に何かあったのかと思って心配しましたよ」
うんあったよ。とびっきり凄い出来事がな。
「お前は何で起きてんだよフレア」
「ぼ、僕も今日のローフィーさんのことを思い出すと、なんだか寝れなくて……」
そうか。コイツはノトフォーリス地方とか言う戦火に巻き込まれた地方出身だったから思うところがあったのか。
「ま、一応今回のココモア大洞窟のクエストは成功だな。フレア。お前には本当にたくさん助けられたよ。礼を言わせてくれ」
「な、な、いきなりなんですか! て、てっきりルークスさんは僕の事嫌いだと思ってましたよー」
「うん。嫌いだ。それはお前がイケメンで強いからっていう、俺の主観によるちっぽけな理由から来ていたものだった」
「ひ、ひどい言われようですね……」
ここで俺が抱いていた疑問をフレアにぶつけてみる事にした。
正直ここからの展開は考えてない。
最悪のケースも十分ありえる
「なんでお前って嘘つくときに、きょどらないんだ? 普通逆だろ」
フレアの声が少し低くなるのを感じた。
「――……いつから気づいていたんですか?」
「ここに来た時にアリバナさんに俺たちの事情を説明した時から気にはなっていた」
「そして、狭い坑道でお前はわざとらしく助けを求めた。あんなに強いお前が何故助けを求めたのか」
「見定めていたんじゃ無いのか? 華姫の力を」
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