「もしまたオスタリアと戦争になった場合また力を貸すと約束して欲しいのだ」
「――うん。分かってるよ」
「答えたくなければ良いのだが、あの戦いの後はどこに居たのだ? 王立叙勲式並びに、私との婚姻調律前日の突然の失踪に、我らも肝を冷やしたぞ」
フェリサルは優しい口調でララに質問する。
「ごめんね。あの後は……少しだけ北方のギルドに所属したの……でもやっぱりやっぱり迷惑ばっかり掛けちゃってさ。そこを出て、砂漠を三日三晩目的も無く彷徨っていたの。そこからはあまり記憶が無いんだけど、気付いたらクルシュルの森林でドラゴン達と過ごしてた」
その言葉を聞きフェリサルは思わず大きな声を出す。
「天龍界のクルシュルの森林だと!? それは国歴魔導文に書かれただけの伝説上の場所では無いのか!? ドラゴンと言うのは霊峰龍様達の事か……」
「うんうん。八年前間そこで過ごしていたの」
ララはその時の面白かったことを思い出したのか微笑しながら答える。
「なるほど。それではどれほど地上に捜索隊を派遣したところで無駄だったのも納得出来る。しかし何故今になって地上に?」
「それはーー」
「フェリサル様、そろそろお時間でございます。早急に戻られませんとフリーザス協商との会談に遅れてしまいます」
白黒のメイド服に身を包んだ使用人が二人の会話に冷たい水を刺す。
「――っ。分かった。今すぐ行くとしよう」
時間の流れに少々不服そうなフェリサス。
「すまんなララ、積もる話はまた今度にするとしよう。三人分の宿の手配もこちらでしておくので、久しぶりに王都を楽しんで行ってくれ」
そう言い残し足早に円卓の間から去っていく、フェリサスの背中は一つの国を背負うのに十分な表情だった。
「――本当に大きくなったね……」
――「おいお前ら何者だ?」
暗闇から響く低音に思わず俺とアクアリウムは体ごと向ける。
「ドラゴンがどうとか、処刑が明日だとか、中々物騒な話してるじゃねーか」
暗くて良く見えないが、このダンディーな低音の持ち主は多分、四十代後半から五十代前半のおじさんだろう。
「あなたは誰ですかね? お顔を見て話せってのが礼儀と習ったもので」
……? やっちまった! つい挑発的な態度をしまった……!
冷静に考えてみろタコ助脳みそ。
どんな理由か知らんが明日処刑する奴と同室になる人間なんてろくな奴じゃないに決まってる!
「ああ、すまないな礼儀を欠くつもりは無かったんだ。私は王立憲兵騎士団元副団長 ブラック・ククール・カイルスという者だ」
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