「いやーー、最初はなぜ私のような王国管理局関係者! がこのような扱いを受けねばならないか疑問でしたが、勘違いなら仕方が無いですな! せいぜいお気になさらずとも、この紙のように軽い口が開かなければ誰にも言いませんとも」
ここぞとばかりに今まで受けた嫌味を発散する。
「うっわー。ルークス君それは僕でも引いちゃうよ」
お馴染みの棒目で
アクアリウムにお馴染みの棒目で軽蔑される。
「うるせいっ」
――慌てふためき謝り続けるボーイに連れられて入った部屋はもはや部屋ではなかった。
まるで庭園のように広がる空間に思わず感嘆のリアクションが止まらない。
「すっげーー! なんだこれ! ルシアさん家の俺の部屋の八十倍はあるんじゃないか……」
「これはこれは。凄まじいお金の掛け方だねぇー」
え?なんで水神様改めアクアリウム様がここに……?
まさか……
「僕の部屋の広いと思ったけどルークス君の部屋も中々の広さだね」
あ、はい。ですよね。
期待した僕が悪いんです。
「あれ?もしかして僕と同室だと思ってドキドキロマンティックな想像しちゃったのかなー?」
あ、はい。しました。
なんて口が裂けても言えるはずが無い。
口が裂ける?
あれ?
「そーいえばララの姿が無いな。早く治してもらわないとせっかくの俺のご尊顔が歪んだままだぞ」
両手で顔を大事そうにすりすりする俺を眺めてアクアリウムが冷静にツッコむ。
「ルークス君って最初に会った時よりなんか陽気になったねー」
「誰がオスタリア軍幹部三傑の二人の前で陽気にハッピーな言動をするんだ。もしそうだったら俺は確実に恐怖で頭が狂ってるぞ」
俺は金ピカなテーブルにタワーのように積み上げられたリンゴを齧りながら、拗ねたように切り返す。
良かったー。さっき買わないで。
てゆーかお金無かったし。
「でもルークス君の言う通り、ダスティンはまだかなー? あの子の事だから僕たちより道に迷ってるのかもねー」
想像がつきやすいにも程がある。
多分『ねーねーここまでの道教えてほしいな!』とか言って教えられた分岐をことごとく間違えて、また聞いての繰り返しをしてそうだ。
――コンコンッ
「やっと来たか。遅いぞー」
そう言いながら開いた扉の前には、黒い礼服に身を包んだ、見るからに賢そうで無機質な表情の男女が立っていた。
「ルークス・アルフレッド様、並びにアクアリウム様少々お話しさせていただいてもよろしいでしょうか?」
そう言いながらもう入って来ている黒服の男女はテーブルに腰掛け、俺たちも座れと指示してくる。
「なんですか? 色々ありまして僕は早く睡眠しないといけないのですが」
「申し訳ございません。本日我々が訪れた理由は二つの伝言があるからです」
「伝言?」
「はい。今回の騒動におきましては王国憲兵の誤認逮捕であるのを認め謝罪させていただくのと、ルークス様、アクアリウム様両名の今後の自由を認めるというものが一点」
そりゃそうだ、あんな逮捕が罷り通った日にはこの国も終わりだろう。
それよりも今ので謝罪完了なのか?
ただ謝罪の意があるのを表明しただけじゃん。
「ギルドにも我々から事情を書いた使役鷹を使い、謝罪及び貴方方の安否・クエスト達成の報告をさせていただきましたので、その点はご心配なく」
あー。そういえばクエスト中だったな俺。
初クエストからこんな目に遭うなんて流石無適性者というところか。
「もう一点は?」
「はい……ララ・ダスティフォリア様はシュメイラル王国二十一代目国王フェリサル・エリア・インベラーネ様と婚姻の儀を執り行う運びとなりました」
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