鳴り止まないボマーウォーカーの爆発音。
それでも俺は決して振り返らず、この二人の命を最優先にした。
「――っ! はっはぁはぁ。はぁ。二人とも…っはぁ。大丈夫。ですか?」
「――はは。そこ…いらの……はぁ。若造よりは…毎日鍛えられ…。はぁーーとるからの」
「もーー! はぁはぁ…なんなのアイツ…らは……はぁはぁ。」
一度深呼吸して、二人に指示を出す。
「ローフィーさん、アリバナさん。落ち着いて聞いてください。アイツらはオスタリア軍の者達です。なので街の方々の避難誘導をお願いします!」
「な、な、何じゃと! あのめんこい男の子もか!?」
「はい、フレアもオスタリア軍の者でした。そして実力はララの一撃を受け止められる事を踏まえると、幹部クラスでしょう」
「なんと……。もう一人もそんなに強い奴なんじゃな?」
「いえ、もう一人はただの魔道使いのようです」
ここでブラッキーナの名前を出したらローフィーさんの精神上厳しいと判断した。
「そんな事より早く避難誘導を! 決してこちら側に近づかないようにしてください」
「それとこの事を早急にシュメイラル本国に伝えてください。何時間後に伝わるかは分かりませんが……」
あの砂漠を今から越えても朝になるだろうな。
「それじゃったら安心せい。この街にはこんな非常事態時に本国に連絡する使役士がおる。奴の使役鷹ならば、三十分ほどでシュメイラルの者どもに伝わるじゃろうて」
さすが異世界、伝書鳩ならぬ伝書鷹とは、しかも性能も遥かに高そうだ。
鷹だけにーーなんて言葉が浮かんでしまった膿を威嚇するように、自分の顔を両手で思いっきり叩いて気合を入れる。
ッパン!!
「っしゃあ! それじゃあお二人も怪我無いように避難してください。俺はララの元に戻ります」
「兄ちゃん、こっちはわしらに任せろ。避難も野郎どもが居れば何とかなる」
そう言い、ローフィーさんは涙をぐっと我慢して、燃え盛る我が家を眺める。
「ルークス君、ララちゃんを頼んだよ。美味しい料理作ってあげるから、絶対二人で帰ってくるんだよ」
いきなりの大惨事にまだ俺らの心配までしてくれるこの人からはやはり、一人の息子を育てた温かい母性を感じる。
「はい。絶対ララとたらふく食べに戻ってくるんで、大盛りの準備しといてください!」
――もっと速く走れよ俺の足!
爆音は絶えず鳴り響いている。
皮肉なことに爆音が鳴っているということは、まだララが戦って生きている証拠だ。
「待ってろ。ララ!」
――「ララ!」
凄まじい戦闘だったのだろう。
地面は捲り上がり、爆発のあちこちで火災が発生している。
そんな炎の中で二人は常人には鈍い打撃音だけを空中に残し、目で追えないスピードで技を出し合う。
「――! ルークス!!」
ララは戦闘から一旦離脱し、俺の横に立つ。
しかしララの目線は常に俺ではなく、フレアを向いている。
そのくらいに気が抜けない相手なんだろう。
「皆は避難できそう?」
「ああ。ローフィーさんが採掘所の皆と一緒に避難誘導してくれてる。シュメイラル本国への連絡も使役鷹に任せてある」
火炎のせいか、地面で擦れたのかララの服はボロボロで、太ももや胸も、ところどころ肌が露わになっている。
しかしそんな事を指摘出来るほど精神余裕が俺にも無かった。
何故なら適性Aクラスの敵が二人に、こちら陣営は適性オールA様が居るとはいえ、前代未聞の無適性者の俺が在籍しているのだ。
「くひひひひっ! そこの雑魚そうな男さぁー。お前なんで戻ってきた? あちしらのレベル見たら場違いなのわかんねぇぇーーかぁー!? 目つきだけじゃ無く頭も悪りぃーってか?」
残りのボマーウォーカーから甲高い不気味な声が聞こえてくる。
「邪魔だ。あちしらと華姫のさいっこうな戦いにオメェーみたいな雑魚お呼びじゃねぇーんだよ。だからこいつも逃げろって言ったんじゃねぇーのかカス」
言い返したいが、全くもってその通りだ。
救世主顔で戻ってきたが、ララからしたらお俺を守りながらの戦いになるだけだ。
「――ルークス。あたしはあたしはね、絶対帰ってきてくれると思ってたよ」
「だってだってーールークスはずっと私のヒーローだもん!!」
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