「そうだよ。オスタリア王国はまた戦争を仕掛けて来ると思うの」
淡々と話すララにまたも嫌らしく突っかかる男が一人。
「ふっ、自作自演であの悍ましい戦争を引き起こした女が今更何を言っている。今回も既に貴様が英雄として崇められるシナリオが存在するのか?」
「やめろ。レナード、あの時彼女を保護するように命じたのは先代の父だ。これ以上は王族を侮辱する蛮族とみなすぞ」
「し、しかしフェリサル様……こやつがあの時オスタリア兵士を殺害などしなかったらシュメイラルとオスタリアの様な大国同士の戦争など起きずなかったのです! 私の家族も……先代のお父上もあの戦争で……。」
テーブルを両手で叩き椅子から勢いよく立ち上がり、その反動で男のメガネの位置が歪む。
「ふっ。それは戦が大の好物で、常に歩兵と共に最前線で戦い各国から闘争神と恐れられた父上の責任だ。最後の最後まで好き放題暴れられた父を私は誇りに思うが?」
微笑した後、目を閉じながら淡々と話す国王。
「――くっ……失礼致しました」
悔しそうな男は再び椅子に腰掛け、話が再開する。
「その件はもういい。とにかく各地の憲兵騎士団及びギルドに厳戒態勢命令を発令しろ。三傑《トライデント》の様な化け物どもが我が国に入り込んでいる事自体が問題だ」
「そーですねー。最近巷では上級適性者狩りが流行っているらしいですし、ウチらも気を付けないとですね」
顔が見えない幼女は他人事のように円卓に嫌な話題をもたらす。
「その話を詳しく聞かせてくれ」
「はい。最近シュメイラル国内において適正B以上の上級適性者を狙った殺人が多発いるのです。その者達は抵抗した形跡がほぼ無いことから、一撃で仕留められていると我々王立警備隊は考えています」
「そんなことが……」
「はい。どこかの殺人者がこの国に入り込んでる可能性があります」
そう言いララに目線を移すレナード。
「そうか。お前達二人は直ちにこのことを各地に伝えてくれ」
「承知いたしました」
「はーい」
そう言い残し二人は席を立つ。
「シュメイラルの国益を損なう事は二度とするなよこの悪魔が……」
部屋の荘厳な扉を開けながらレナードが吐き捨てる。
「レナード!!」
――パタン
「すまないなララ。アイツも悪いやつでは無いのだ。ただあの戦争で家族を失った奴にとっては君の存在は看過できないのだろう。シュメイラル国国王として詫びさせてくれ」
「良いの良いの、レナードが私を憎む理由も分かるから……」
「本当に立派になったね! フェリサル!」
満点の顔で微笑みかけるララ。
「そんな事ないさ。ララも無事で何よりだ」
「あっ! あとねあとね、ルークス達はあたしと一緒にオスタリアの人達と戦っただけだから早く釈放してほしいの!」
「分かった釈放しよう。だが条件がある」
「――何かな?」
「もしまたオスタリアと戦争になった場合また力を貸すと約束して欲しいのだ」
「――うん。分かってるよ」
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