保健室に来るとすぐに興介は目覚めた。
「俺は、負けちまったのか? ちくしょう…」
「そんなことよりも答えるべきことがあるだろう? なあ、式神…って言ったよな。お前はどうして持っている?」
「俺のは幼い時に手に入れた」
芽衣は興介にケラを出して、
「この子も式神みたいなんだけど、どうすればいいの?」
と聞く。すると、
「簡単だ。召喚師ならだれでもできること。和紙に名前を書いて、式神に当てればいい。一人歩きしている式神はそうすれば仲間にできると聞いたことがある」
ここに和紙はないので、芽衣は家に帰ってからそれを行うため、他に必要なことを聞いてメモした。
「なあ興介? 俺が聞きたいのは…他にもお前みたいなヤツがいるのかってことだ。四六時中狙ってきたら面倒だろ? 仲間はいるのか?」
いいや、と言って興介は首を横に振った。
「俺は脅されてただけだ」
「脅す?」
「ああ。名前も顔もわからないが、ソイツはヤバい。言うことを聞くしかなかった。多分ソイツの配下の召喚師は他にもいて、お前を狙っていると思うぜ…」
「それは困ったな…」
「…俺が協力してもいいぜ?」
霧生は驚いた表情で、
「お前が? さっきやり合ったばかりのお前を信じろってか?」
「ソイツに借りを返さないといけないからな」
少し霧生は考える。
興介が味方になれば、力強い。知り合いがほとんどいないこの町では、仲間は重要だ。
だがこれも興介の作戦だったら? ソイツとか言うそんなヤツもいなかったら? そんなリスクもある。だが、
「わかった。お前の言うことを信じよう。ただし次の刺客が俺のところに来れば、の話だ。それでいいか?」
「ああ。一人で怯えているよりも、ソイツの言うことを聞くよりもはるかにマシだぜ…」
お互いの傷を保健室で癒すと、三人は下校した。
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