最強マザコンヤンキーと娘溺愛ニートオヤジの異世界7日間戦争!~愛する人を救う為なら他はどうなっても構わねぇので天変地異起こします~

キョロ
キョロ

07 支配勢力

公開日時: 2022年2月20日(日) 08:53
文字数:2,234

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~とある場所~


どの世界にも表と裏、光と闇、陰と陽…それぞれの立場や環境が違えば当然何が“正義”かも全く異なってくる。

異世界フラットアースもまた然り。


この世界には、「支配勢力(ルーラー)」と呼ばれる裏で世界を支配しようとしている闇勢力がある―。

長年の歴史から生まれた彼等の思想は“新世界”を手にする事。彼等の思う新世界とは、自分達を脅かす存在を排除しこの世界を完全に彼等で支配することである。あまりに強大で悪質な力はいつか世界を揺るがすものだとも言われている。


そこまでの脅威を持つ組織にも関わらず、全世界の八割以上はルーラーという存在さえ知らない。知っている者の中でも噂や名前を聞いたことがある程。、彼等の本質や実態、ましてや黒幕を知っている者は僅か一握りだけ―。


彼等は平穏で豊かな生活のすぐ側に隠れている存在なのである―。


その思想、力、権力や財力…。ルーラーと呼ばれる彼等は表で目立つことなく静かに…だが、もの凄い力と勢いで確実にここフラットアースを闇に堕とそうとしていた―。


「――“ユダ様”…。遂に今年のスキルで、“ピース”が集まりました。」

「今年出たスキルを確認した時は驚きの余り鳥肌が立ちました。」

「我々が長年待ち望んだスキルが“その国”に同時に現れた為、既に現地のルーラー達が動いております。」


広い大きな部屋に炎の明かりだけが灯されていた。全体的に薄暗く、部屋の一番奥に立派な祭壇があった。その上の一つの玉座に“ユダ”と呼ばれる者が座っている。ユダの側近なのか、玉座の右に三人、左に三人。計六人の者が立っていた。


祭壇の下には様々な人間や種族の者達が数百人以上集まっていた。皆黒いコートのようなものを羽織り、袖にはルーラーのマークとも言われる数字の「6」とどこかの国の文字を合わせた紋章があった。

そして、玉座に座るユダが口を開く―。


「――時はきた…。支配された先祖の長年に渡る呪縛を、我々が解き放つ時がついに来たのだ!…ルーラー達よ…。我々で新世界を手にするぞ!!」


「「「オオオッーーーーーーー!!!!」」」


ユダの掛け声でその場にいた全員の士気が上がる。建物の外にまで響くけたたましい歓声と盛り上がり。ユダと側近達が祭壇を降り、その姿が見えなくなっても歓声は暫く続いていたー。


部屋を後にしたユダ達は建物の一番上に来ていた。六人の側近がユダと向かい合うように一列に並ぶ。


「……順調に進んでいるだろうな?」


「はい。全て抜かりなく。直ぐにスキル保持者をユダ様の元へお連れ致します。」


「よいかお前達…遂に我らが世界を手にする時だ。失敗は許されんぞ―。」


――ゾワッ――!


ユダの悍ましい魔力にゾッとする六人。体が震える者、悪寒がはしる者、冷や汗が出る者…。“死”をイメージさせられるこの世のものとは思えない魔力。これが闇勢力の頂点にいるユダという存在。

失敗を許さない今回の命令に釘を刺したユダはいつの間にか目の前から消えていた―。


「相変わらずえげつない魔力だ…。」


「こりゃ失敗したらマジで殺されるな。」


「私は御免だわ。」


「…ユダ様は絶対だ。失敗は許されん。お前の部下達は大丈夫なんだろうな?」


一人の男が獣人の男に言った。薄紫色をした肌に紅い瞳。少し耳が尖り、髪は白に近い銀髪。魔族と呼ばれる魔力の高い種族だ。その魔族の男は六人の中ではリーダー的存在なのか、魔族の男が獣人を睨みながら言った。


「大丈夫だ!抜かりはねぇ!俺の部下には優秀な獣人族が多い。既にスキルを所持してるガキの所へ向かったさ!明日にでも連れて来てやるよ!」


獅子のの獣人族と思われるその男は、巨体に毛量の多いたてがみなびかせながら自信満々に言い放った。そう言い残すと、豪快な笑い声と共にその場を後にした。


「獣人族ってなんでああ自信過剰なのかしら?図体だけのくせに。」


「他人の事はいい。各自やる事をやれ。」


冷たくあしらう彼女はハーピィと言われる種族だ。人間と同じような姿だが、手には鋭い爪があり背中に羽が生えている。下半身も獲物を捕らえる鷹のように鋭い爪がある。見た目の怖さとは真逆に、空を優雅に舞う姿は美しくもある。


魔族の男に言われ、ハーピィの女も何処かへ飛んでいった。それに続くようにその場にいた他の者達も次々に去っていく。一人残った老人が、上から景色を見下ろしている魔族の男に声を掛ける。


「あのガサツなライオンで大丈夫ですかな…?」


老人は眉と髭がとても長く、視線が何処へ向いているか分からないぐらいである。杖をつき立っているその老人は、どこにでもいそうな見た目だが、その佇まいは微塵の隙も感じさせなかった。魔族の男はその問いかけに答えず視線だけを老人に移す。


「どれだけの年月が経ったじゃろうか…。まさかワシが生きておる間にユダ様の新世界が見られるとはの。新世界に必要な“三つのスキル”…その一つは二十五年前に生まれ、奇跡的に今年は残りの“二つのスキル”が生まれた…。ホッホッホッ。長生きするもんじゃの。

この歳でこれほどワクワク出来るとは。」


「……珍しく喋るな。」


「いかんいかん。年を取ると戯言が増えるわ。新世界は目の前…来るべき日に備えなくてはの…。それにしても……全てのスキルが“日の国”に集まっとるとは、いやはや何の因果かの~ホッホッホッ。」


少し肌寒い夜の事。ここフラットアースのどこかで、世を脅かす勢力が遂に…世界を支配する為動き出した――。

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