第3世代ミニ四ガールズ 1ちゃんす!

仮想世界をハイスピードで駆け抜ける、少女たちのレーシング・ロマン!
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SECTOR-6 :AYUMI-3

公開日時: 2021年7月11日(日) 20:28
更新日時: 2021年9月20日(月) 20:24
文字数:937

残り3周、

とんでもないバトルが目の前で始まった!

さあ、エアロアバンテがフェスタジョーヌのリヤに入った。

ストレート、ホームストレートを駆け抜けていく。ここはルナがおさえこむ。


フェスタジョーヌはエアロアバンテの行く先をふさぎ、狭いコースを巧みに利用している。『バーサス』上でバトル状態になるということは、両者のラップタイムが接近している証拠……。


トンネルの中の高速コーナーからシケイン、ここが問題だ。ここも抜きどころ。しかし順位は変わらない。


もうルナも、さっき教えた「オーバーテイク」の手順を使っているのだろう。

しかしエアロアバンテが後ろに来ている!これは外からいく!もう会長はどっからでも行ける!


「会長! どうしました!? 大丈夫ですか?」

「あーっ! やってるわよ!」

「ルナちゃん?」

「……」


ルナから返事はない。完全に「スイッチが入った」感じなんだろうか。


あと2周。コース脇では「後ろからペースの速いマシンが来ている」ことを示すブルーフラッグが掲示された。しかしあと2周、ルナは譲らないつもりだろうか?


さあ、もう一度トンネル。これが勝負。

シケインが待っているが、ルナが押さえた。フェスタジョーヌがスライドしながら押さえていく。すごいレース、すごいバトルだ。

エアロアバンテが右に左に懸命にプレッシャーをかけるけど、抜けない!


これからファイナルラップ。

ルナにとって初めてのミニ四駆、そして『バーサス』体験が信じられないような、すごいレースになった。


本当に最後のトンネル内の高速コーナー、そしてシケイン。抜かせないルナ。恩田会長、先輩の威厳の灯火が、向こうでかすかに揺れて今にも消えそう……。


このレース、ルナの入部記念というよりも、トゥインクル学園ミニ四駆部にとっては大きな、大きな意味がある。これから最終セクション。


どんなにしても抜けない。ここはセルジナ公国・ストリートコース。絶対に抜けない!

最後の直線、後ろから会長が仕掛けるがどうか!


届かない!


ルナ逃げ切った! 猪俣ルナ、押さえきった!最後の最後、ギリギリいっぱいのところまでフェスタジョーヌ、MAシャーシは我慢した!


と、大きな音が食堂に響く。


「ルナちゃん!」

「猪俣さん!」


フェスタジョーヌがコース脇に止まるのと同時に、きゃしゃなルナの身体が、フローリングの床の上に崩れ落ちた……。


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