第3世代ミニ四ガールズ 1ちゃんす!

仮想世界をハイスピードで駆け抜ける、少女たちのレーシング・ロマン!
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SECTOR-4:TAKUMI-1

公開日時: 2021年11月26日(金) 16:55
文字数:1,077

ナイトレージJr.の奇襲、

それにはそれなりの計算がある……ってたま姉が言ってる。

「どういうつもり!?」


猪俣センパイが思わず席をたつ。ボクもつられて立ち上がった。最初のチェックポイント、右に左にコーナーが続く区間を抜けたところで、先頭はナイトレージ、フレイムアスチュートが続いて、ボクたちのエアロサンダーショット、後ろにトップフォースEvo.が続いている。


「そういうことか」


たま姉が相変わらずの落ち着きっぷりで、ボソッと口にする。もちろん席には座ったまま。


「どういうことだよ、たま姉」

「ルール」

「ルール?」

「あの、たまおちゃん、もうちょっとわかりやすく教えてほしいんだけど……。」

「アタイたちに配られたバッテリーは」

「24セットだよ」

「それを超えたら」

「え? なんだっけ、3周のペナルティでしたっけ、猪俣センパイ」

「はっ、えーと確かそう……。そうでしたか!」


何だか二人ともトリックがわかったみたいで悔しい。


「だーかーら、それがどうしたっていうんだよ!」

「まだわかんないの、たくみ」

「えー?」

「バッテリーを全部使いきったときに3周以上のリードがあれば」

「ペナルティをもらっても前に出られるんですよ」

「はぁー?」


タブレットを見ると、早くも最初の一周が終わろうとしている。《スクーデリア・ミッレ・ミリア》は無理に追いかけないで、《レジーナレーシング》の逃げるのに任せている。差はもう2秒くらいに広がっていた。


エアロサンダーショットのすぐ後ろにはトップフォースの影。こっちも大径タイヤで飛ばしていきそうな感じだけど、無理に前に出るようなことはしないみたいだ。


スタートでのショックも、2周、3周と重なってくると薄くなってくる。ナイトレージは燃費を無視したペースで相変わらず走っていて、10分過ぎて10秒のリード。うまくいくようには思えない、思いたくないけど今のところ順調に先頭を走ってる。


フレイムアスチュートとエアロサンダーショットの差は2秒。後ろのトップフォースEvo.は1秒以内につけて、ここが2番手集団と言ったところ。


「そう言えば、温泉のコはどうなったかしら?」


猪俣センパイが言うやいなや、たま姉は素早くタブレットを操作して順位表を出す。


「18位」

「うん、そっか……ありがとう!」


ピットの向こう、あゆみと会長が陣取るピットウォールの先にある大スクリーン。ちょうど後の方の争いが映った。《チーム・メリーゴーランド》のベアホークRSは、前後をMAシャーシのスーパーカーみたいなマシンに挟まれてつらそう。


「うーん」


どうも、ボクは場の空気に飲まれてるみたいだ。わかっていてもできることはほとんどない。しょうがないんでもっともらしく、ボクは腕を組んだ。



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