第3世代ミニ四ガールズ 1ちゃんす!

仮想世界をハイスピードで駆け抜ける、少女たちのレーシング・ロマン!
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SECTOR-3:AYUMI-1

公開日時: 2021年11月25日(木) 16:55
文字数:1,012

いよいよスタート!

何がおこってもおかしくないのがレースだけど、さすがに驚く!

グランプリで4年連続の年間チャンピオンになったセブルバ・ベットー選手は、鈴鹿サーキットを「神がつくったサーキット」って呼んでる。


左右に振れるコーナーはひとつひとつが難所だし、ヘアピンは安定性と加速力が必要だ。


一方で折り返しのコーナー《スプーン》からは一気に直線ばっかりのコースになる。高速の130R、そしてシケインはミニ四駆で言うならレーンチェンジャー。1周走らせるだけでも気持ちがすり減りそうなのに、これを8時間も続けるって言うんだから《選手権》を仕切ってるひとはどうかしてるよ。


《スタート時刻です》


隊列はいまバックストレートに入った。20台のマシンは2列にならんでコースを進んでいく。


「ペースカーはこの周でピットインだ」


たくみの声。


「全車、トラブルなし」


たまおの声。


「いけますよ」


そして、ルナの声。


本当ならここまでこれたことに感謝したいんだけど、今はそれどころじゃない。


スタートのとき。グランプリやミニ四駆のように、いったん止まってからのスタートじゃなくて、隊列をつくって動きながらのスタートは「間合い」が大切だ。

先頭のフレイムアスチュートがつくるペースに合わせてついていかなくちゃならない。早ければペナルティをもらうし、遅れれば後ろに抜かれてしまう。


「ペースカーがピットに入った」


会長の声。


「よぉし……」


赤いリヤウイングが、エアロサンダーショットの間近に迫る。ペースをおとし、隊列を引き連れてからスタートするつもりみたいだ。

と、ウイングがわずかに左右に震えた。アスチュートのタイヤ、一瞬スリップして路面に赤いマークがつく。


「ペースアップ!」

《Copy.》


2台は同時に、完全に同時にスタートを切った! インコースはフレイムアスチュート、あたしたちはアウト。

ホームストレート、コース上のライトはグリーン。


《いま、スタートです!》


ついに始まった……! っていう、あたしの意識は一瞬で吹き飛んだ。


「あゆみ、外!」

「えっ、なに!?」


スクリーンに目をやると、エアロサンダーショットの背後から黒い影が飛び出して、大外にもちだしてならびかけていた。


「ナイトレージ!」

「志乃ぶちゃん!?」


予選6番手、完全に意識してなかった場所から飛び出し、あたしたちを1コーナーまでに追い抜いて、フレイムアスチュートをインのきついラインに押し込み、短い直線で強力に加速すると、先頭に立ってしまった……!


「ナイトレージ……。」


頭のなかは早くも真っ白だよ……。



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