第3世代ミニ四ガールズ 1ちゃんす!

仮想世界をハイスピードで駆け抜ける、少女たちのレーシング・ロマン!
1chance_jp
1chance_jp

SECTOR-FINAL:AYUMI-3

公開日時: 2021年10月1日(金) 17:00
文字数:1,008

一番になろう! 誰よりも速く、誰よりも強く、誰よりも美しく!

いこう、《すーぱーあゆみんミニ四チーム》!!

「忘れ物ない?」


 ロビーにそれぞれの荷物を並べて、チェックアウトの手続きを済ませた。費用はルナのお母さん……どんな立場の方なのかは考えたくないけど……が負担してくれた。情けない!次にやるときは、学校の部費でまかなえるように、どうにかしたい!


「涼川さん、ありがとうございました」


 小田原ゆのちゃんが深々とお辞儀する。同い年のコにそこまでされると、あたしの方が何か悪いことをしてるような気にさせられる。


「いえいえ。次は、じゃあ《選手権》の予選だね」

「はい! 会場であいさつさせて下さい」

「うん。《チーム・メリーゴーランド》が決勝に出られるといいね」


 領収書をもらったルナがやってきて、全員が揃った。うまく言えないけど、みんなの距離が近くなったみたい。こう、横に広がったときの幅が昨日までよりも、せまい。


「じゃ、部長、いきますか」


 会長の言葉を合図に、それぞれの荷物に手を伸ばす。


「ぜひ、あの、涼川さんたちも決勝に行ってほしいです!……そういえば、みなさんはチーム名はつけられてるんですか?」


 小田原さんの問いかけに答えようとしたとき。


「「「「はい!」」」」


四人が一斉に答えた!


「え、あたし、まだ聞いてないけど、いつのまに?」

「それぞれに考えたんだけど、ボクらひとつしか思い付かなかったんだよ」

「だから、もう、それがいいんじゃないのかなって」

「いずれにせよ、4票入ってるから」

「賛成多数」


 お互いを見て、なんだかウフフフ笑ってて、ちょっとくやしい。


「で、何に決めたのよ」

「それは……」

『すーぱーあゆみん!ミニ四チーム!』


……は?


「ちょっと、なによ、それ! このチームは、あたしだけのものじゃないのよ?」


会長が一歩、前に出る。


「確かにそう。でも、私たちはあなたに誘われて、あなたを信じて、あなたと一緒に何かをやりたい、続けたいと思って集まった。だから、私たちは、あなたの名前で出場したいと思ったの」

「そんな……」


 みんなの視線があたたかくて、でも辛い。

 と、不意に拍手が響いた。小田原さんだった。


「すごい! めっちゃいいですよ! 《すーぱーあゆみんミニ四チーム》! わたしはいいと思いますよ!」

「そうかな……」


 拍手が大きくなる。たくみが、たまおが、ルナが、会長が、拍手を始めた。もう、恥ずかしいことをするんだから……。瞳から溢れそうなものを、手でぬぐった。


「わかった! いいわ! トゥインクル学園ミニ四駆部、

《すーぱーあゆみんミニ四チーム》! いくわよ!」

読み終わったら、ポイントを付けましょう!

ツイート