第3世代ミニ四ガールズ 1ちゃんす!

仮想世界をハイスピードで駆け抜ける、少女たちのレーシング・ロマン!
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SECTOR-2: AYUMI-1

公開日時: 2021年6月20日(日) 12:00
更新日時: 2021年9月20日(月) 20:14
文字数:1,003

駅から伸びる、人の列!

これだけでも燃えるのがミニ四チューナー!

「着いたーっ!」

「話には聞いてましたが、すごい人ですね……」


りんかい線の国際展示場駅を降りると、正面に逆三角形のオブジェ。

そこへ向かって延びる列、みんな片手にポータブルピットを下げている。

ジャパンカップ東京大会③。

『バーサス』でのレースとは別に、リアルなレースイベントは毎週のように開かれている。その中でももっとも大きくて歴史もあるのが日本選手権、ジャパンカップだ。25年前から始まったジャパンカップは、全国約20ヶ所の会場を巡り地区代表を決定、最後は真の日本一を決めるというとてつもないキャラバンである。


「ちょっと緊張するかも……」

「大丈夫ですよ~。痛いのは一瞬ですから」

「緊張するからやめてよ、もう!」


ミニ四駆部に参加して一ヶ月、会長もずいぶん話してくれるようになった。

エアロアバンテも作ってはテスト、壊しては修理を繰り返して、コースをだいぶ走れるようになってきた。

それにひきかえ、あたしの方は会長のマシン作りに気をとられて全然チューンできず……。まあ、今回は「トゥインクル学園ミニ四駆部」として初めての校外活動だから、それだけでもあたしは大満足だ。それよりも……


「会長の私服って、超レア~」

「ちょ、それ何回言われても気持ち悪いからやめて!」

「いやいやいや~。」


デニムのスカートからのぞく、黒タイツ!

制服の時も変わらないその姿には、こだわりがあるんだろう。あたしの方は重ね着したTシャツとデニムのパンツ、かわいさも何もあったもんじゃない。


「ほーら、ふざけてると遅くなる」

「むう」


あたしたちの脇を、大人の……なんというかおじさん達が小走りにすり抜けていく。改札から続く人の波は途切れることなく押し寄せてくる。

会長の背中を追って、あたしも歩き始めた。

「女帝(エンプレス)……赤井さんはもう来てるんですかね」

「秀美ならとっくじゃない?」

「そうですよね」


会場で会おうと言ってくれたのは、女帝の方からだった。ただ待ち合わせはせずに

、会場で会えたら会おうという、という程度の距離感だ。

そんな考えを、頭を振って吹き飛ばす。目線の先には、さっき見た逆三角。でも近づくほどに、じわじわ大きくなっていく。レースの会場はその向こうにある駐車場だ。

スマホで道を調べなくても、行き方はわかる。何千人ものミニ四チューナーが、一本の線になっている。その線をたどっていけばいいのだ。


「いよいよ!」


興奮をおさえられず、思わず声をあげた。

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