第3世代ミニ四ガールズ 1ちゃんす!

仮想世界をハイスピードで駆け抜ける、少女たちのレーシング・ロマン!
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第11話 カナガワ地区大会、決勝!(中)

SECTOR-1:TAKUMI-1

公開日時: 2021年12月4日(土) 17:10
文字数:1,099

エアロサンダーショットにアクシデント発生!

どうしてこういう時になるとボクって何にもできないんだよっ!

「どうしたっていうのさ!」


スタートから一時間過ぎ、みんなで交代で休憩をとることになったんだけど、ボクの番が終わったと思ったらピットが騒がしい。慌てて戻ると、右のリヤタイヤを交換し終わったところだった。


「シャフトは!」

「問題ないわ!」

「よっし、ピットアウト!」


サイレンとともに、《エアロサンダーショット・フルカウラーV》がピットを出てコースへと戻っていく。


「たま姉、何があったんだ?!」

「……小田原さんのチームのマシンを、《ショウナンナンバーズ》のトップフォースEvo.がかわそうとした」

「小田原さん、もう周回遅れなのか……。」

「そうしたら二台とも同じ方向に避けてしまって接触。」

「うわあ……。」

「で、ベアホークがスピンして止まったところにサンダーショットが」

「そうなんだ」


観客席を見ると、みんなの目線はボクらのマシンじゃなくて《ショウナンナンバーズ》のピットに向いている。


「あゆみちゃんがとりつけたカウルがタイヤを守ってくれたから、そんなに大きなダメージじゃないけど」

「ああ……。」


トップフォースEvo.はバンパーが大きくねじれてしまっている。VSシャーシの弱点、バンパーの強度不足が原因だろうな……。

もうねじれた部分は諦め、追加でプレートを取り付けようとしてる。これは時間のかかる作業になりそうだ。


「耐久レースって、ノートラブルじゃすまないからね」


ピットウォールから会長が下りてきた。


「涼川さんを休憩させたいんだけど、誰か代わりに入ってくれない?」

「じゃあ、ボクがいくよ」


考える間もなく手を挙げた。また、大事なところで何もできなかったんだから、こういうところで取り返さなきゃ。正直、ちょっと焦ってた。


「じゃあ、いきましょ」


ピットウォールのあゆみは、顔の前で手を組んでサンダーショットの動きを見つめていた。


「涼川さん、いったん休憩してきたら」

「会長……ありがとうございます」

「ボクに任せといてよ」

「ふふ……変なことしないでよ」

「あったり前だろ!」


意外にあっさりと、あゆみは席を立っていった。


「もう少しゴネるかと思ったけど」

「まあいいわ。それにしても先頭の《レジーナ・レーシング》のナイトレージは落ちてこないわね」

「一時間ちょい経って、ようやく一周差。それでもかなりプッシュしてるようですね……。」

「今後どうなるか、ね」


一方で、スタートから二位を走り続けている《スクーデリア・ミッレ・ミリア》、つまりエンプレスのフレイムアスチュートはたんたんと走り続けてる。


「うーん……。」


ピットウォールの席に座ってはじめて、たくさんの情報を見て、それをコントロールするのは難しいと、ボクは早くも思い始めていた……。

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