・悪霊
地面から湧き出す黒い霧状の存在。人間に取り憑いて蝕み、時に人から人へも伝染する『意思を持った病』ともいえる人類の敵。
死体の多い場所でよく見られるためにいわゆる『オバケ』と同一視されて『悪霊』と呼ばれるようになった。最近の研究では、その実態は地下深くに溜まっている淀みのようなものだと分かっている。地中で微睡んでいた淀みが人間の死体に惹かれるように浅瀬へ上がり、さらに生きた人間を狙うために地表へ姿を現したものが『悪霊』である。
人間を喰らうことで力と知性を獲得して成長する。上位になるほど人に近い明瞭なシルエットを象るようになり、その分だけ耐久性や侵蝕力も増してゆく。
剣や火薬では基本的にダメージを与えられない。聖輝力を浴びせる、あるいは霧状の体をさらに細かく刻まれると消滅する。
・不死者
悪霊が死体に取り憑いて操るもの。一見すると死なずの人間のように見えることから不死者と呼ぶ。
腐乱死体ならゾンビ、白骨死体ならスケルトン、死にたてで食欲が残っていると食人鬼<グール>となる。いずれも聖輝力を浴びると溶けるように消えてしまう。
取り憑いた死体の生前の性質を再現することから、さまざまな死体を継ぎ合わせてから悪霊を取り憑かせることで『火を吹く猫』『空を飛ぶサメ』といった合成獣『キメラ』を生み出す研究が一部で行われている。
・魔族
人間を多く喰らった悪霊が高い知性と強大な力を獲得し、実体のある肉体を得るに至ったもの。あらゆる姿へと自在に変化できる。その人間を超えた力と狡猾さは、時に世紀の大国すら脅かす。
総じて強大な魔術を用いることから『魔に愛されし一族=魔族』と人間側が呼ぶようになった。学会では『悪霊変転体』と呼ぶこともあるが魔族呼びが一般的。魔族たちも特に不都合もないためそう名乗る。
悪霊は魔族が同胞を増やすために生み出したものだ、という説もあり、悪霊が先か魔族が先かは永遠に終わらない議論の代名詞。
人類の歴史は悪霊と魔族から生き延びるための戦いの歴史だった。
ゆえに人は魔族を討つ英雄を求め、スリーニアではそれを為した者を『聖女(聖人)』と呼び褒め称える。
聖輝力や聖職者についてはまた次回。
火葬にすれば悪霊を減らせると主張する学者もいますが、有史以前から土葬の文化圏なのであまり支持されていません。
明日のヨラメル村から6章に入ります。
内容としてはアレです。劇団の格好をしたのに劇のひとつもやらずに終われるわけないんですよね!
それに伴って試験的に投稿時間を変えてみる予定です。今が12時頃のところ【明日からは18時頃】の投稿とさせていただきます。
昼休みに読んでたのに、という方には申し訳ありませんが、しばらく検証にお付き合いください。
読み終わったら、ポイントを付けましょう!