ガチの神話を創作してみようと思い立ち、書き始めてみたものです。
神話らしいものを目指して書いたため、かなり堅い文章を使用しております。
『夢見るアートゥ=オームと、イェ=ムーの起こり』
まず、アートゥ=オームが永劫の輪廻の褥に身を横たえ、人間には量り知ることあたわぬ那由他の時を供に、深々とした眠りについた。その夢として拓かれた世界がイェ=ムーである。
アートゥ=オームがまだ浅き眠りにもいたらず、寄せては返すさざ波か、或いは揺りかごのごとき微睡みに遊んでいる頃より、その茫漠たる意識の中で既にイェ=ムーは形を成していたが、それはまだ暗黒とも無とも、また光明とも有とも知れぬ、すべてが存在し、またすべてが存在しえない、不可知が渦巻く渾沌にして、またすべてが一にして、一つが全たる真実の秩序であった。
だがアートゥ=オームに真の眠りが訪れ、その外部へ向かう知覚が無意識の内部へと沈みゆくにつれ、やがて不可知の領域に《五柱の大神》が姿を持って生まれた。
第一の神はニヤー=オームといった。
第二の神はシャー=ルといった。
第三の神はユルヴェー=カといった。
第四の神はマー=ユイーイといった。
第五の神はミアー=ニアといった。
そして、それら《五柱の大神》の他、渾沌の中より産声を上げるものはなかった。結局のところアートゥ=オームの眠りによって創造されたのは、まさに永劫の光の旅路、膨大な不可知、原初の秩序と、《五柱の大神》のみであった。
大神達が何の故をもって原初のイェ=ムーに生まれたか。それを知るものはこの後、神々の中からも、人の中からも、千種の獣の中からも、万種の精霊の中からも、遂に現われることはない。それはただ夢見るアートゥ=オームのみが知るところであり、アートゥ=オームがその由縁について想起することは即ちアートゥ=オームの目覚めであり、夢の終わりであり、イェ=ムーが終焉を迎えるときに他ならない。
また、アートゥ=オーム自身が何処より生まれ出でたものであるか。それはアートゥ=オーム自身にも不可知の真実であった。
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