女剣士華婉(かえん)は彰国の武芸の名門、還界派の門弟。
ある日、華婉の所属する第三班は項家荘探索を命じられる。泰来国からの略奪者、馬賊が潜伏しているという情報だった。その項家荘を探索中、華婉たちは覆面をした謎の集団に襲われ、班長の周渓は死亡。華婉も深手を負ってしまう。
調練中の官軍が突然現れたこともあり、華婉、そして同じ班の霍悠輝(かくゆうき)、楊恬香(ようてんか)は生き延びる。
三人は一年後、鏢師(用心棒)として陳盛という男に雇われていた。その館を襲撃したのは項家荘で出会った覆面の集団だった。
館では人とも獣ともいえぬ異形の化物が現れる。道士と名乗る謎の男、施暈(しうん)はそれを妖鬼と呼ぶ。
施暈は華婉の前世は月天女佳剣君と呼ばれる仙女で、仙器と呼ばれる対妖の武器をいずれ手に入れると言った。
仙器を得た華婉は妖鬼との戦いに巻き込まれはじめる。それに呼応するように現れる新たな仙器所有者。
仙器所有者を引き入れ、妖鬼を倒すことに奔走する覆面の集団と施暈。
馬賊を操り、妖王復活を目論む謎の術師。
仙、妖の力を持つ者がそれぞれの思惑のもとに動き、戦う。その争いは彰、泰来の両国を揺るがすほどに大きくなっていくのであった。
仙妖入り乱れ、江湖に死闘の嵐を巻き起こす幻想武侠物語。